青い石の思い出……
大学生の頃、
NHK主催「海のシルクロード 古代シリア文明展」
を観に出かけ、
何千年も昔の、異国のアクセサリー類の美しさに驚きました。
金の頭(獅子?)で胸に青いラピスラズリをはめ翼を広げるワシの像……
あれは、きっと天命を伝えるアンズー鳥で、
エンリルなど至高神の象徴だったのかもしれません。
その展覧会場で売られていた
濃紺のラピスラズリのペンダントに
心惹かれたのですが、1万円近いお値段で、
入場料と図録代を払った学生の立場では、
とても手が出るものではありませんでした。(^ ^;
そこで900円のブレスレッドを購入しました、ガンバレ若僧。
使っているうちに留め金がこわれて、ウン十年。
今ではブレスレッドの残骸が残るのみ……
異国情緒に心惹かれて、何か記念の品がほしかったのだと思います。
今のような天然石ブームはまだ訪れておらず、
気軽に入れる天然石ショップもありませんでしたので、
その後、人生ほぼ初の「マイ天然石」は、
路上でアクセサリーを売る外国人の青年から買いました。
「ラピスラズリ……アメジスト……ビューティフル・ストーン」
と、英語で説明してくれたような……
ラピスラズリくん。
2000円位だったかな……高いのか安いのかもわからず、
あの展覧会場で観た品より、ずっと軽装でカジュアルな紺……
本物かな?偽物の石だったらどうしよう?
ドキドキしながら買ったのは、
渋谷の街だったか吉祥寺の路上・公園だったか……
自分が学生それともOLだったかさえおぼろげな記憶。
薄いペラペラの茶色の紙袋にいれてもらったペンダントを、
大事に持ち帰ったことだけ覚えています。
たぶん、吉祥寺の井の頭公園あたりかな……
その2~3年後に、かなり本気っぽいラピスラズリを、
当時有名(?)だった通販サイトで購入。
色といい、粒の大きさといい、枠のガッチリ感といい、
なんとなく「オラオラァ~」って感じで、
最初に持っていたシャイな青い石くんを
圧倒してしまいました……
当初は、よそいき用に本気ラピスさん、
普段使いには、シャイなラピスくん、
だったはずが、
いつしかシャイ・ラピスくんは、
鏡台の引き出しの箱に「しまいっぱなしの子」に……
ごめんね、初代ラピスくん。
いま眺めると、君、素朴できれいだよ……
そんな思い出に立ち戻ったきっかけは、
先日に訪ねた天然石ショップさんで、
青いしずく型のペンダントトップを見つけ、
「素敵な石……」
と手にとったものの
「青い石なら、もう持っているから」
と心にストップがかかった瞬間に、ふと。
単に綺麗とか、アクセサリーというだけでなく、
なにか未知の世界への憧れを
体現する存在としての石。
そんな若い頃の気持ちを、ふと思い出したり。
いまでも石のアクセサリーを眺めるのは
大好きなのですが、
石を通してあの頃に感じていたのは、
まだ知らない世界がこの世にあるという「あこがれ」
だったのかも……
「あこがれ」って漢字は、
心に童、と書いて「憧」れなんだな……
ココロにワラベ……
その辺の石ころを拾ってつないで遊ぶ
カランコロンと鳴る、変な夢……そっか。
ガラクタ、それもまたよし……