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ファンタジーや神話、子どもの本について等、

のんびり書き記したブログのアーカイブです。

 

月曜から日曜まで、『日常』は、太陽系の7惑星。

そのはざまに浮かぶ、『矮惑星』のような、

夢見がちな時間の記録として。

 

 

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MONTHLY: 2013/06

 

 

TITLE: スケッチブックより (3)

CATEGORY: シノブくん雑記 DATE: 06/20/2013 12:04:31


こんなん?
(*^_^*)

 

 

 

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TITLE: スケッチブックより (2)

CATEGORY: シノブくん雑記 DATE: 06/20/2013 11:55:13


こんな感じ?

 

 

 

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TITLE: スケッチブックより (1)

CATEGORY: シノブくん雑記 DATE: 06/20/2013 11:47:00


シノブくん、
髪を短くして
みました。

 

 

 

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TITLE: 水晶の剣 (5)

CATEGORY: 創作「オモカゲ山のシノブくん」 DATE: 06/20/2013 10:37:21

 

 


 うずくまったシノブくんの腕からポトン、またポトンと血がしたたる。それは地に落ちて、黒い芽をだし、黒い葉をしげらせた。
「まずいなぁ、あいつの毒気にあてられた……」
 こんなにつらそうなシノブくんを、はじめて見る。どうしよう、わたしはそばにいるのに、何もできない。
「だいじょうぶだから……イスルギさん」
 オロオロするわたしにそういったとたん、ザブンと、滝のような水がふってきて、シノブくんは、びしょぬれになった。
「だいじょうぶでもないでしょ。もう、ホントに、あなたは無茶をするから」
 水がかかると、黒いツルや黒い葉は、すべてしおれて消えた。
「ユズメさん!」
 シノブくんが、ほっとした顔になった。
「ありがとう、助かりました……でも、そんなに水をかけたら傷口がいたいです」
「これは、『たんたら清水』でくんだ、浄めの水よ。いたくても、がまんして」
 ユズメさんと呼ばれたその人は、素焼きの水ガメをかたむけて、傷ついたシノブくんの腕に、水をそそぐ。その小さな水ガメからは、いつまでも水があふれ、つきることがない。
「あの女の子は、遠足の小学生たちのもとに、かえしました。
 わるいユメをわすれるオマジナイをかけてね」
 ユズメさんの姿はたおやかで、たばねた長い銀の髪は、まるで流れる清水のように、日にすきとおっている。
「ほんとにありがとう、ユズメさん」
 シノブくんは、つぶやいた。
「どうしてかなぁ、アイツをみたら、じっとしてられなくて……」
「千年ごしのライバルっていうのかしらね?」
 ユズメさんが、かたむけた水ガメをもちなおすと、あふれる水は、ぴたりと止まった。
「アイツ、昔からロクなことをしなかったから……地震をおこしたり、旅人をおそったり、草木を枯らしたり」
「それもそうね」
 ユズメさんも、顔をくもらせた。
 シノブくんは、ふと手の中の水晶をみて、ほほえんだ。
「イスルギさんの石の剣が、ぼくを守ってくれたよ。ありがとう」

 わたしが落ちてこなければ、ずっと土にふかく埋もれたままのはずだった……その石を大切にしよう、そう思った。
「ね、さっきイスルギさんが歌っていたのは、どこかに伝わる子守歌かな」
 シノブくんは、すっかりいつものシノブくんだ。

「彼方にまたたく 夢の星
 あわくきらめく 時の石……」

 わたしは、なぜか覚えていたあの歌を、そっとまた歌いはじめた。


     (『水晶の剣』 2013.6.20 )

 

 

 

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TITLE: 水晶の剣 (4)

CATEGORY: 創作「オモカゲ山のシノブくん」 DATE: 06/17/2013 12:33:55

 

 


 パラッ。
 赤い石粒が、大ムカデの足にあたって、地に落ちた。
 すると、そこから緑の芽がでて、ふた葉となり、ふた葉から本葉、さらに本葉のあいだから、くるくるとしなやかなツルが伸びはじめた。
 ツルは、緑の葉をしげらせながら、太く長くどこまでも伸び、大ムカデにからみついた。
 ツルにからまれ、大ムカデの動きが、にぶくなった。
「この子を安全なところにつれていきましょう……あなたもいっしょに」
 銀の髪の女の人が、ミナコちゃんをだきあげた。
 わたしは、首をふった。
 目の前に、腕をおさえたシノブくんがいる。
「そうね……そばにいてあげて」
 その人がほほえんでうなずくと、風がふいて銀の髪がなびき、一瞬ののち、ミナコちゃんをだいた姿はかき消えた。
「イスルギさんも、にげてくれればよかったのに」
 シノブくんが、ため息をついた。
「守らなきゃいけなくなる……」 
 わたしは、ポケットにしまっておいた水晶をとり出し、シノブくんにさしだした。二人でオモカゲ山を歩いて、穴の底でみつけた、あの水晶だ。
「これを……おれた剣のかわりに」
 シノブくんは、目をまるくして、わたしと水晶とを見くらべた。
「ありがとう」
 いつもとちがうきびしい顔だったシノブくんが、いつもとおなじように、にっこりした。
「使わせてもらうよ」

 シノブくんが、わたしの手から水晶をうけとった。水晶がかがやきはじめ、氷のようにすきとおった剣にかわると、シノブくんは、その剣先を天にむけた。
「ひと粒は、千粒に。千粒は、万粒に」
 よくとおる声がひびくと、大ムカデにまきついたツルが、いっそう太く長くなり、葉をしげらせた。やがて、葉のすきまからツボミがふくらみ、ツルのあちこちで黄色い花がさきはじめた。
 まるで黄色いチョウがとまっているような……三日月と小さなうず巻きとを組みあわせた形の……そう、その花はシノブくんの髪飾りに似ていた。
 大ムカデが身をよじらせると、シノブくんがかざす水晶の剣が、いっそうかがやいた。
 黄色いチョウのような花たちが次々に散り、あとにたくさんの緑のサヤがついた。サヤはみるみるふくらみ、茶色に色づき、パラパラと雨のように、赤い粒をこぼした。
 地に落ちた赤い粒から、クシの歯ほどたくさんの、あたらしいツルが伸び、大ムカデにまきついた。
「もういいかげん、この地にしずまれ」
 シノブくんが、水晶の剣先を、大ムカデに向けた。
 大ムカデは、緑のツルにとらわれながらも、おれた剣のささった目玉で、にらみつけてくる。
 アミの目のようにビッシリまきついたツルが、大ムカデごとグイグイ地面にしずもうとしている。たちこめる空気が、おもくるしい。
 きらめく剣を大ムカデに向けたまま、みじんも動かなかったシノブくんが、ふいに腕をおさえた。
「…ぃつっ…」
 剣先がゆらぎ、シノブくんが、うずくまった。
 その一瞬をまっていたのか、大ムカデが、尾で地を打ってはね上がり、からまるツルをひきちぎった。
「あぁ、しまった」
 ちぎれたツルをふりおとし、大ムカデは、黒いイナズマのはやさで水ぎわにすべり込み、しずんでいく。
「にげられた……」
 シノブくんが、くやしそうにつぶやいた。
「黒沼の底に?」
「いや、もっと底深いところに……」

 

 

 

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TITLE: 水晶の剣 (3)

CATEGORY: 創作「オモカゲ山のシノブくん」 DATE: 06/16/2013 12:32:26

 

 


 なにがおこるのだろう?
 胸さわぎがして、わたしはふりかえった。
 黒沼が波だち、水面がもりあがり、わきおこった水ばしらの中から、天を突くような黒い生き物があらわれた。
 それは、無数の足をもつ大ムカデで、うねりながら沼からはい出してきた。
 シノブくんの手の中で、水晶がかがやく剣になった。
「ひさしぶりだが……なぜ目覚めた?」
 大ムカデは、らんらんと光る目玉でシノブくんをひとにらみし、黒い波頭となってすべり、キバをむき、おそいかかる。
 それをかわしたシノブくんが、まるで波のりをする身のこなしで、黒光りする大ムカデの背に飛びうつった。
「わるいな、また退治させてもらう」
 シノブくんが、両手でにぎった剣を、大ムカデの首に突きたてた。けれど、黒がねのようなその体から剣ははじかれ、シノブくんは沼の中へと、はね飛ばされた。
 水しぶきをあげて落ちながら、シノブくんがさけんだ。
「にげろ!」
 大ムカデが、するすると、こちらに向かってきた。無数の足が波うって、とてもはやい。
 わたしはミナコちゃんの手を引き、にげたけれど、すぐ追いつかれそうになった。
 ミナコちゃんが、木の根につまずいて転んだ。わたしは、ミナコちゃんにおおいかぶさり、目をとじた……もうダメだ。そう思ったのに、なにもおこらない。
 ギュッとつぶった目をあけると、ずぶぬれのシノブくんが、わたしとミナコちゃんの前に立ち、水晶の剣で、大ムカデの黒光りするキバを押しとどめていた。
「にげてくれ、はやく」
 ギリギリと力がぶつかりあい、水晶の剣にヒビがはいった。すきとおった刃がみるみる白くくもり、切っ先がくだけ散った。
 シノブくんは、折れのこった剣を、大ムカデめがけて投げつけた。そのとたん、大ムカデは、はげしく身をよじってあばれ出した。
 くだけた剣が、大きな目玉に命中したのだ。
 やみくもにふりおろされた、するどい尾が、わたし達をかばうシノブくんの腕をかすめ、赤い血が飛びちった。
 パラパラ……
 雨がふるような音がして、シノブくんの血のしずくが大地にしたたると、それは小さな赤い石粒にかわった。
 こんなときだというのに、それらは、とてもきれいな石粒だった。思わず、ひと粒を手にとると、シノブくんがさけんだ。
「イスルギさん、それをあいつに投げつけて」
「そうよ、それを投げて」
 ふわりと、よい香りがたちこめ、耳もとでやさしい声がささやいた。
「え?」
 おどろいてふりむくと、銀色の長い髪をゆるくたばねた女の人が、ミナコちゃんを助けおこしていた。
 ひらりと、金のはねのチョウが舞いとんだ。
 女の人がわたしを見つめ、だいじょうぶ、とうなずいた。
 とっさにうなずき返し、わたしは、にぎりしめたこぶしをかまえると、ありったけの力で大ムカデめがけて、その赤い石粒を投げつけた。

 

 

 

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TITLE: 水晶の剣 (2)

CATEGORY: 創作「オモカゲ山のシノブくん」 DATE: 06/15/2013 23:39:13

 

 


 ふかい木立ちのはざまを、みえない糸にひかれるように、金のはねのチョウが飛んでいく。
「もう、ここらはユズメさんの庭だ」
 シノブくんが、あたりを見まわした。
「ユズメさん?」
 わたしが問いかえすと
「そう。オモカゲ山の東には『アズマの宮』、西には『シノブの宮』がある。そのまんなかにあるのが、『ユズメの宮』だよ」
 金色の羽ばたきが、ヒラリと目の前をよこぎり、シノブくんが立ちどまった。
「ほら、黒沼だ」
 木立ちにかこまれ、水をたたえて静まるその沼は、すいこむように暗い色をしていた。
 黒沼のほとり、ぼんやりと水面をながめながら、ひとりの女の子がうずくまっていた。
 ふちのついたボウシをかぶり、かわいいピンクのリュックをしょっている。
「ミナコちゃん?」
 シノブくんがそっと声をかけると、その子はびっくりした顔でふりむき、ポロッと涙をこぼした。
「やっぱり、遠足にきた小学生だな。先生や友だちのところへ、つれていってあげよう」 
 シノブくんが手をさしだすと、その子の涙が、ポロポロと止まらなくなった。
 心細かったんだね……みんなとはぐれてから、ずっと。
 わたしは、思わずミナコちゃんのとなりにかがみ込んだ。
 いっしょに黒沼の水面を見つめながら、ふと口ずさんだ。

「彼方でまたたく 夢の星
 あわくきらめく 時の石
 石をみがいて 星にしよ
 涙のかけらも 友にして
 闇のしずくを いやすまで」

 トロリとふかい沼の水に、さざ波がよせた。
 なぜ、こんな歌をおぼえているのだろう。さっぱり思い出せなかった……でも、わたしが歌いおわったとき、ミナコちゃんの涙は止まっていた。
 わたしは、ミナコちゃんの髪をなで、なるべくやさしく声をかけた。
「お友だちのところへ行こう?」
 ミナコちゃんは、コクンとうなずき、立ちあがった。
「そうだね、行こうか」
 シノブくんが、にっこりうなずいたとき……なまぐさい風がふき、木立ちがざわめいた。
 ハッとしたように目をみひらいて、シノブくんはあたりを見まわし、ふいにきびしい顔をした。
「イスルギさん、ミナコちゃんをつれて、黒沼からはなれて」
 そしてシノブくんは、金のはねのチョウに、声をかけた。
「ユズメさんを呼んできてくれ、今すぐ」
 ふわりとチョウが飛びたつと、シノブくんは首にかけたヒモを、グイッと引っぱった。ヒモがちぎれ、胸もとにあった水晶が、シノブくんの手の中に落ちた。と、その水晶が、みるみる輝きはじめた。
 とまどっていると、シノブくんが強い力でわたしの手を引っぱり、木立ちの奥を指さした。
「いそいで!」
 わたしは、ミナコちゃんの手をとり、かけ出した。
「なぜだ、もう千年以上ずっと眠っていたのに……」
 黒沼に背をむけ、かけ出したわたし達。その後ろで、シノブくんの、ひくくつぶやく声がきこえた。

 

 

 

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TITLE: 水晶の剣 (1)

CATEGORY: 創作「オモカゲ山のシノブくん」 DATE: 06/15/2013 18:05:36

 

 


 ツユクサの青い花のむれが、そこだけとぎれて、ふかい穴があいていた。
「ここだったのか、君が落ちてきたのは……」
 シノブくんが、のぞきこんだ。
「ずいぶん大きな穴だね……あ、イスルギさん?」
 わたしは、シノブくんの声を背中にききながら、穴のしゃ面をすべりおりた。穴の底で、なにかがキラリと光ったのだ。
 ……とある春の夜、わたしは星くずたちにまじり、オモカゲ山のこの場所に落ちてきた。いま思い出せるのは、それだけだ。
 日の光をうつした水面のように、チラチラ光る何か……わたしは、穴の底の土に埋もれたそれを、指でほりおこした。
 しめった土につつまれたそれは、細長い、先のとがった六角の柱のような石だった。手のひらにおさまるほどの大きさで、ひんやりと重みがある。
 わたしは、穴からはいあがって、シノブくんにその石を見せた。
「これはね、水晶……ふかく埋もれていたから、結晶が大きいし、よくすきとおっている」
 シノブくんは、にっこりした。
「オモカゲ山は、水晶がとれる山なんだ。ほら、ここにもひとつ……」
 シノブくんが、自分の首にかけたヒモを持ち上げると、ヒモの先には、キラリと光る六角柱の石がつるされていた。
「ぼくがそこらで拾った石より、イスルギさんの見つけた水晶は、ずっと大きくてきれいだね」
 わたしは、手のひらの石の、土をぬぐってみた。すずしい光が広がる。
 わたしが、どこかから落ちてきて、オモカゲ山の地面にこんな大きな穴をあけ、そして見つかった結晶……いま、手の中にある……それが、ふしぎだった。
 わたしが落ちてこなければ、ずっと土にふかく埋もれたままのはずだった……この石を大切にしよう、そう思った。
「おや?」
 シノブくんが、首をかしげた。
「風にまじって、誰かをさがす声がするね」
 わたしも目をとじて、耳をすました。
「……ミナコちゃん、ミナコちゃーん……」
 たしかに、何人もの声が、女の子の名を呼んでいる。
「いまは、小学校の遠足の季節だからなぁ」
 シノブくんが、つぶやいた。
「きっと、子どもが迷子になったんだろう」
 シノブくんは、自分の髪にさしていた三日月型の飾りをはずし、手のひらでつつんだ。あわい金色の、三日月と小さな渦巻きとを組みあわせたような髪飾りだ。
 シノブくんが手のひらをそっとひらくと、その髪飾りは、金のはねのチョウに変わっていた。
「ミナコちゃんって子をさがしてほしいんだ、たのむよ」
 シノブくんが、手のひらを宙にさしのべると、金のはねのチョウは、ふわりと風に舞った。
「さぁ、あのチョウについていこう」
 シノブくんは、大きな歩はばで、歩き出した。

 

 

 

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