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こちら、ドワーフ・プラネット ( Yahoo!ブログより )
ファンタジーや神話、子どもの本について等、
のんびり書き記したブログのアーカイブです。
月曜から日曜まで、『日常』は、太陽系の7惑星。
そのはざまに浮かぶ、『矮惑星』のような、
夢見がちな時間の記録として。
ホームページ「黎明のほのかな翼」
も、どうぞよろしく☆
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MONTHLY: 2011/09
TITLE: 子守唄
CATEGORY: ポエム&童話
DATE: 09/03/2011 22:54:26
にぶくかがやく 時の石
あわくきらめく 夢の星
石をみがいて 星にしよ
涙のかけらも 友にして
闇のしずくを 癒すまで
( ―子守唄― 2010.8.7 ジオログより再掲載)
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TITLE: メルヘン(前)
CATEGORY: ポエム&童話
DATE: 09/03/2011 22:48:14
仲間とはぐれた上、こんな大穴に落ちるなんて! もう森には帰れないのか。 私の羽根はあちこち破れ、飛べそうにない。
暗闇に明かりが見えた。 見知らぬ若者が、大きな岩に腰かけ、本を読んでいた。 岩には、深いくぼみがあり、数えきれぬ本が並んでいた。
「これは、空の飛び方・・・という本だ。 そして、ぼくは、ツバサ族の生き残り」
若者は、二つのビンを取り出した。 赤いビンを傾けると、光る野イチゴの酒が、盃にこぼれた。 若者は、白いビンから木の実のパンを出し、半分に分けた。 焚き火を燃やし、手をかざし、私たちは陽気に歌った。
心から微笑むと、破れた羽根が、背中から落ちた。 私の両肩には、金の新芽のような羽根が・・・
「もう君は、自由に飛んでいける」
私は、首飾りから、大切な種を取り出した。 妖精族は、ひとり一粒の種を持って、この世に生まれ、 芽吹くのにぴったりの場所をさがす。
「残念だよ。ここは暗くて日が射さぬ、大穴の底だ。 きれいな水も、流れてはいない」
ふたりで穴の底から飛び立ちたい、と願ったが、 若者は、首をふった。
「ツバサ族のつばさとは、本の岩そのもの。 ぼくは、ツバサ族の知識を受けつぐ者」
大きなマントの下、彼の背にある、一対の翼。 翼の付け根にからみつくのは、銀色のくさり。 くさりは長く伸び、彼が腰かけた大岩に巻きつき、 地に埋もれていた。
「白いつばさの両肩に、銀の戒めが・・・ くさりの先は、どうなっているのかしら」
野イチゴの甘いお酒に酔って、空飛ぶ夢や、 本に埋もれている時間は、おしまいになった。
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TITLE: メルヘン(後)
CATEGORY: ポエム&童話
DATE: 09/03/2011 22:34:23
銀のくさりの埋もれた土を掘ると、 「本の岩」に刻まれた、小さな文字が見つかった。
『源へたどりつけ』
掘り進むにつれ、「本の岩」に刻まれた絵や文字が、 地層の中に、浮き上がる。
「ツバサ族の先祖が、残したメッセージだ。 この岩は、大昔、今ほど厚く埋もれておらず、 この辺りを、広い河が流れていたのか」
彼の頬には、泥まじりの汗。 「本の岩」は、あらかた掘り出され、 岩肌いちめん刻まれているのは、大きな船で海をわたる人々、 夜の航海で目印にした星座、船の作り方の説明図。
めぐる月日、掘り続けた二人の両手は、汚れに汚れ、 ついに銀のくさりの先が、くずれた大地から現れた。 掌のくさりの端でゆれる、小さなカギには、 文字が刻まれていた。
『自由に旅立て』
彼は、笑いだした。
「長い間、ぼくを縛っていたのは、こんな言葉か!」
掘り出された「本の岩」の根元に、 くさりのもう片端をつないだ、銀の台。 カギ穴がひとつ、そこにも刻まれた、小さな文字。
『流れのままに行け』
さびついた、力強い線。 古代の知恵を問う瞳に、風をはらんだ真っ白な帆、 新天地を目指して舵をとる人々の姿が、浮かぶ。 幻の船は、水晶ガラスの海原を、鳥のようにすべる。
彼が口を結び、古いカギ穴に、カギを差した。 「本の岩」が大きく揺らぎ、 岩の下から、幾百の鈴を響かせ、水があふれた。
あふれた水は、矢のように一すじの川となり、 解き放たれた地下水の渦は、 おぼれた二羽の鳥のような私たちを、水晶の腕で運んだ。
流れる水のほとり、見知らぬ野原で目覚めたとき、 彼は、ゆったりと翼を広げた。
「『ここは二人の新天地』・・・最初の言葉、 はじめの一歩を、そう岩に刻もうか?」
「本の岩」は遠く、彼の翼に銀のくさりは、もう無い。 私は、一粒の種を、掌にのせた。 ・・・水晶の小川が歌う沃野で、この一粒の種は、芽吹き、 どんな花を咲かせるだろうか。
( メルヘン ―前・後― 2010.8.6 ジオログより再掲載)
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