ヤマトタケル伝説について、あれこれ
ネット検索していたら、
「クサナギノツルギはウラン製だった」
という、一種のトンデモであろう説(都市伝説)に出くわした。
が、これはこれで面白いので、書きとめておくことにした。
まずは、ヤフー知恵袋。
「クサナギノツルギが放射性物質ってほんとですか?」といった内容。↓
そのウワサの出所は、どうやら2ちゃんねる。
同じくヤフー知恵袋のやりとり。上記の知恵袋もそうなのだけれど、
Q&A(冷静な回答者さん)が程よい距離感で面白い。
2ちゃんねるに書き込まれた「怪談クサナギノツルギ」↓
上記のサイトによれば、この「怪談」の初出は、2003年2ちゃんねるスレッド。
その後、2009年にコピーされた「怪談」が再考されて、
「2ちゃんねる まとめwiki」として再UP。
「クサナギノツルギ ウラン」などキーワード検索すれば
いまも様々な記事が出てくることでわかるように、
その後、いくつかのブログや知恵袋などを経て、
震災後の今日まで
「怪談クサナギノツルギ」が伝承されている。
その過程で、2003年の初出では「金」とされた神器の素材が、
上述のヤフー知恵袋のやりとりでみたように、
「放射性物質」へと変貌し、ときには
日本におけるウラン鉱脈をめぐる陰謀論にまで結びつく。
こうした「都市伝説」が息づく背景には、
・福島第一原発での過酷事故の記憶
・放射性物質への不安
があるのかもしれず、こうして少しずつ変容しながら
「国家の一大事」的な過去の怪異エピソードとして
ネット空間でひっそりと伝承されていくのだろうか。
初出の「怪談クサナギノツルギ」では、
「金製の奇妙な呪具」として描写された形状は、
容易に、ユダヤのシンボル「メノラー」を連想させる。
祭文によって「西の方にいざり動いた」という描写も、
その神器のルーツが西方にあることを匂わせる。
つまり、インターネット上で初めて語られたときから、
この神器は「日ユ同祖論」的な性格を含め持たされていたのだろう。
下記は、Wikipediaによる「七枝の燭台=ユダヤのメノラー」の記述。
そして、ユダヤの秘教カバラで伝承されてきたという、「生命の樹」。
下記はWikipediaによるその記述。
ただし、聖なる樹木への信仰は、
ユダヤ特有のものではなく、古来より世界的な広がりを持つ。
下記は、Wikipediaによる「世界樹・宇宙樹」の記述。
メノラーの形状は、世界的な古代信仰「聖なる樹」を
洗練させたデザインであり、
過去の日本列島にそのカタチが伝承されていても
不思議ではないのだが、
大胆にも「クサナギノツルギは、剣ではなく金の宇宙樹の形」
と語って見せたところで、
まず「怪談クサナギノツルギ」の不思議な生命力が
宿ったのだろう。(;'∀')
そして、この怪談が語られた場が「過去の大学の研究室」であり、
語ったのは「学友」、聴いたのは「先生と自分を含む学生」という点で、
これも一種の「学校の怪談」なのかもしれない。
「神社の怪談」であると同時に「学校の怪談」でもあり、
「太平洋戦争末期の日本」
「国家祭祀によって、神官が犠牲」
といった歴史譚を含み、
神器に手をかけるというタブーを冒して
「青い炎で炭と化す」結末に至るまで
全体に冥界的・呪術的な畏怖のトーンでまとめられている。
このような古今東西の知識に基づく、
すこしオトナな「学校の怪談」が語られる場として、
検索によって知識が得やすく、読者も情報が共有しやすい
インターネット空間、作者が名無しである
2ちゃんねるのスレッドなどが、
とても適したメディアであることは間違いないだろう。
かつては神話に関する知識・イメージなど
一部の大人の興味の対象であったものが、
ゲーム他マンガ・アニメなどによって、
青少年にとっても「名前だけは知っている」アイテムや神名へと、
変貌している、ここ数年の時代背景も興味深い。
「怪談クサナギノツルギ」のような
インターネットを媒介にした都市伝説は、
今後もひっそりと、したたかに命脈を保ち続けるのではなかろうか。
以下は、Wikipediaによる「学校の怪談」の記述。