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ファンタジーや神話、子どもの本について等、

のんびり書き記したブログのアーカイブです。

 

月曜から日曜まで、『日常』は、太陽系の7惑星。

そのはざまに浮かぶ、『矮惑星』のような、

夢見がちな時間の記録として。

 

 

ホームページ「黎明のほのかな翼」

 

も、どうぞよろしく☆

 

 

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CATEGORY: ポエム&童話



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TITLE: 月あかり

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 11/25/2018 12:44:38

 

 

 

月あかりが降る晩に

ふらりと影法師

 

野良タヌキや野ウサギたち

草かげで目を光らせ

スズメやカラスは

こずえで眠る

 

野良猫は餌をさがし

飼い猫は優雅に散歩

 

魔法の火がともる

どこからか影法師たち

ふらりふらりと集まってきて

 

影たちは輪踊りする

一晩中 浮かれ騒ぐ

東の空が白くなるまで

月あかりが消えるまで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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TITLE: チャレンジャー

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/07/2017 15:13:03





星の海へ
明日には出航する
未来派の
魔法使い君(まだ見習い)

黄ばんだ呪文はすてた
地球からみあげるだけの
星の暦は
もう読みあきた

いまどきの舟は
電脳だぜ
雷神の杖は
オリオン座がもってるぜ

シリウスが季節をきざみ
北極星が方角きめる
そんな役立たずのお手本
地上に置いて

飛びこんでみなけりゃ
そらは泳げないぜ
もうひとつの太陽を
さがしに行くぜ





 

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TITLE: ジョーカー

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/05/2017 13:32:35




 - ジョーカー -
 
 上も下も ありまして
裏も表も ありまして
 
手にした札は
愚者でババで たまに切り札
 
上も下も かきまぜて
裏も表も まどわして
くるりと逆転 ただいま準備中
  
(2017/10/1)





アメリカのトランプ氏の大統領選の
イメージなど
思い出して書き留めたメモです。

ここ数日、日本でも
政局があれよあれよと
流動しています。
どうなっていくのでしょうか。

お絵描きもポエム?も
ずっとお留守になっていたので、
只今リハビリ中です……(;'∀')。





(上記リンクは、HPのポエム頁です)





 

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TITLE: たびびと

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/08/2017 14:02:46



youtube に動画をUPしました。
もしもお時間ありましたら、どうぞ御笑覧下さいませ。

   たびびと

  こずえを かなで
  みなもを あゆむ
  そのすがたは みえず

  こがねの みのり
  さやかに ゆする
  ふしぎな たびびとよ

  こごえる よあけ
  くらい よる
  おとずれを まちわびて

  ほしの えだを
  ささげて まねく
  つきかげの そのつばさ



先日のポエム?に
旋律をつけてみたくて、
piano10 というアプリで
音を作りました。

( ノД`)
マウスでアプリ鍵盤をポチポチ弾いた?ので
音がぶつギレです。
パソコンで内部録音したら、
ピアノというより何かを、ぽちぽち弾く音みたい……

ボーカロイド買おうかな……
キーボード欲しいな……
ウクレレ練習、挫折しつつボチボチやってみたり……

こういうポチポチな機械音を相手にしてると
「あ~もう沖縄民謡~!津軽三味線~!よさこいソーラン!
 ♪(>▽<)/~♪
 生で聴きたい~!!!☆」

という衝動が沸き起こりまする……





 

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TITLE: ひととき

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/06/2017 16:12:39


こずえを奏で
みなもに銀の足あとをつけ
その姿はみせず



こがねの実りをまた
この年にも約束する
ふしぎな旅の御方



つめたい冬
くらい夜に
訪れをまちわびて



ひぐれに想い
夜明けにも祈る
その歩みを



水面にうつる
月や日にさがし
めぐる星にえがいて



こずえの枝
よりしろにまねく
この地にひととき
いこい安らえ、と









 

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TITLE: かごめかごめ

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 03/22/2017 18:00:07




かごめ かごめ
かごのなかの とり は
いついつ でやる
よあけの ばん に
つる と かめ が
であった
うしろの しょうめん
だあれ?

  


おりましょう あみましょう
やくそくのあした しるすため
 
ながれゆく みなもに はるのいと
こんこん めぐり また つづく
  
よあけまえは くらくて さむい
ひごもり ならばなお くらい
ひかりのつばさ ほころべば 
つきかげ しずかに はなれゆく

きょうのよるが
あけたなら

あしたのあさに
こんにちは
   




 

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TITLE: 春の種

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 02/05/2017 18:45:12



立春の日を過ぎました。
光の春です。
まだまだ寒いけれど。

以前に書いた立春の童話です。
もしもお時間ありましたら、
どうぞ御高覧くださいませ。


同じ内容の童話ですが、
下記リンクは、大幅に字数を減らした
短縮バージョンです。
よろしければ、
どうぞ御高覧くださいませ。


(*^-^*)








 

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TITLE: 七色の香り

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 01/11/2017 12:46:23


故郷とおく
七つの砂漠をこえ
七つの海をわたり

あれでもない
これでもない
七色の味
七色の香り

たったの
ひとさじから
あさつゆと新芽の香り
ふりそそぐ

金のリンゴの皮
おもい黒雲ひらく呪文
ねむりの花のタネ
七色まぜあわせ

はるか異郷に
あるという
その魔法の粉を
さがして

七つの星しめす道を
オアシスたどり
港また港へと

七つの砂漠をこえ
七つの海をわたり
たったひとさじ七色の

故郷におきわすれた
あさつゆと新芽の香り
ふりそそぐ風を
さがしつづけて





(とある方から頂いた、
手作りの七味唐辛子に、
ふと浮かんだこと……)





 

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TITLE: スナップドラゴン(金魚草)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 01/08/2017 12:12:14





花のうてな
されこうべ

竜のお宮に
とついだ乙女

たねは光を
おぼえています

春には
芽ぶいて
また咲きほこる








 

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TITLE: 赤い実

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 01/07/2017 08:34:44



赤い実もいで
灯りをもらって
知恵がつきますよう

赤い実ひとくち
邪気をはらって
風邪ひきませぬよう

たわわにみのる
ことしの赤い実
どうか おひさまの光が
雪にも北風にも
まけませぬよう




 

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TITLE: 若水

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 01/05/2017 18:27:23



新月の光、野山にふり
樹上にやどり、
水面にうつり、

新月の光うかべた
若水をくみ、
器にやどったその光に
さざなみ立ててひたす、
よわい重ねた銀の腕、
さらに重ねる緑の指。

銀の腕でたがやし、
緑の指で種まく、
この新しい季節、新しい土に。

銀の腕さしあげ、天に祈る、
子らがよく育ちますように。
緑の指を組んで、地に祈る、
種がよく実りますように、と。





 

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TITLE: ホームページに「光のたまご」UPしました。

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 12/22/2016 18:53:10



ホームページに、「光のたまご」UPしました。

上記リンクから開きます。
もしも御高覧頂けましたら、幸いです。

昨日の冬至に合わせて
こちらのブログにUPしたものを
ほんの少しだけ推敲しました。

あまりに短すぎてポエムともいえないですが、
ポエムの項に置きました。('◇')ゞ

ポエムのくくりが、
2011.3.11~
となっていて、でも
東日本大震災より以前のペースと比べると、
ポエムはほとんど書かなくなったことが一目瞭然……

そのかわり、ここ数年メモ書きしてきたのは、
「神話雑記」の項目でした。
そんなココロモチ、
そんなナリユキだった、
ってことにしておこうか……

ポエムコーナー、そろそろ
ポエム(3) 2017~
のページを新しく開こうかなぁ、なんて思ったり。
(=_=)




 

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TITLE: tomoさんのイラスト(吹雪くんpoem2編)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 12/15/2016 14:25:50




「雪の日に」

   
新しい街への旅立ちも
ただひとりの相棒の死も
そういえば 雪の降る日に訪れた。
 
くらい淵から くるくるまわる
あかるくかるく 光るかけら
 
ちいさな手いっぱいすくった
つめたくいたい 雪だるまの頬のまるみ
マフラーまいて駆けていったグラウンド
おもいでは空のかけら
山の道にひとひら ふたひら
 
少年は白い斜面を きゅっきゅと踏んで
凍てついた球を 蹴る。そうして
北風と一緒にすべりおりて
見知らぬ谷間に いざなわれる。
 
       (2010/10/17)


 
 
「二重星」

 
君の瞳の優しさは
微笑みゆえに
ではなくて
誰かの不在ゆえ
 
と 気づいたのに
きっぱり拒まれるより
いっそう重い 君の引力
 
どこにも行けない
足もとにもつれた影を
ひとつ またひとつ
受け止め 蹴り飛ばし 解き放つ以外
どんな未来も見つけられず
 
影法師ひとつ
重力以上に踏みしめている
アンバランスな
臆病さ加減にあきれはてる
 
気が遠くなる無限のピース
雪原のジグソー・パズル
白い闇に 目印のない星座を
書き込むのは誰?
 
さあ、地図だ
純白のフィールドだ
影法師から 両足を持ち上げて
見知らぬ方角へ
君は 歩き始める
 
足元にボールがひとつ
そのゴールは無限にひろがる
 
       (2010/10/17)




 ( illust : tomo / poem : dwarf ©2016 )




※ブログ友のtomoさんが、
りりしく美しい吹雪士郎くんのイラストを
UPしてくださいました。
tomoさんにお願いし、
以前に私が書いた吹雪くんpoemを添え、
こちらのページにも、
そのイラストを載せさせて頂きました。

……(^▽^)✨


tomoさん、萌え心を思い出させて下さり、
ほんとにありがとうございます!

tomoさんの美しいイラストが掲載された
ブログへは、どうぞこちらから……


(^▽^)✨




 

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TITLE: ホームページに「カタツムリ」UPしました。

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/01/2016 15:07:20



以前に書いた詩「カタツムリ」と、
昨日に描いたイラストを組み合わせて、
ホームページを更新しました。

物語の、とても断片的なイメージ案です。

下記リンクから開きますので、
もしもお時間ありましたら、
どうぞ御高覧くださいませ。m(_ _)m






 

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TITLE: tomoさんのイラストによる「月の葉」✨

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 07/25/2016 17:35:00


- 月の葉 -


月の葉を
清水にひたし
ツユしたたらせ
約束する
渇いた大地はよみがえり
埋もれた種はまた芽吹く、と

形代の枝
かがやく炎に投じ
煙たちのぼらせて
夢をみる
明星にともなわれ日がのぼるとき
灰の寝床からツバサは舞い上がる、と

幾千と幾万
暗い夜の夢をたどれば
朝がこない日はなかった
それがずっと
変わりゆく世界の魔法
変わらぬ「とき」の約束

月の葉を輪にして
月の葉を冠にして
魔法がおわらないことを願う
約束が破られないことを祈る

月の樹を柱にして
月の葉を屋根にして
星々の物語を紡ぎ
地の安らぎを織りあげる

月の実をもいで
月の葉を編んで
円い籠舟を銀河に浮かべ
こよい漕ぎ出せば
この岸からあの岸へ
終わらない旅が始まる


 ( illust : tomo / poem : dwarf ©2016 )






※以前に拙ブログに載せた詩「月の葉」をもとに、
ブログ友さんが素晴らしいイメージイラストを
描き起こしてくださいました。
まさしく今日の出来事です。
なんて素敵な日でしょうか……(^▽^)✨

tomoさん、ほんとにほんとにありがとうございます!

tomoさんの美しいイラストが掲載された
ブログへは、どうぞこちらから……


(^▽^)✨


 

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TITLE: そらがのぞいた(動画)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 07/01/2016 09:46:57




ホームページに、
動画「そらがのぞいた」
追加しました。

もしもお時間ありましたら、
どうぞ御高覧くださいませ。

つたないですが…… (^^;



 

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TITLE: 冬至も間近に

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 12/15/2015 17:58:46



「泥棒じゃないよ、ぼく。
いっしょに春をまってるんだ」

巣ごもり妖精と
光のたまご。



 

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TITLE: 残響

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 04/06/2015 23:26:37




見知らぬ森、続く空
晴れぬ雲の壁、白紙のページに閉じ込められ

私は、たくさんの忘れ物を
指のすきまからこぼしてきた

前のページに戻ってさがすのは、やめておく
風にさらわれたページが、次から次へと羽ばたく

お終いまでめくり終え、風は、ほころびた本を旅立った
すべてを知っているだろうに、なんの重荷も持たず、風は旅する

昨日の私は、今日の私ではない
明日の私は、今日の私ではない

子ども達は、まっさらなページを始めから旅する
さぁまだ見ぬ物語を、さがしに出かけよう

エメラルドの波のゆりかご、化石の竪琴が閉じ込めた歌をさがしに


    (ポール・ヴァレリー「海辺の墓地」の残響……2013.12.25)



 

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TITLE: ごあいさつ

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 04/05/2015 11:59:32


月夜の野原の道化師は、
実った穂を手に持ち、
さぁこれから飛んだり跳ねたり踊りますよ。

豆の色した縫い目のない僕の服、
この緑はあの世の色だと誰かが言いましたけど、
へぇ?そんなの僕は知らないな。

僕の体は、鳥の羽根みたいに軽いです。
カラスみたいに黒い羽根か、それとも幸せの青い鳥の羽根なのか、
僕の踊りに意味があるのか、そんなのちっともわかりません。

ここがどこかなんて知らなくていい、
朝日を見るまで僕は踊り、日が昇ったら眠ります
ちょっと奇妙なのが大切で、
何かわからない気配がそよぐ、
誰かが草むらを振り返ったら、それが僕……




 

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TITLE: ふいに秋が

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 09/27/2013 14:46:18



消しゴムが行方不明。
受け取りそこねた
郵便が一通。
手持ちの地図が
風にあおられる。

もはや正確な
地図かどうかも
怪しいのに、
両手で古い紙を押さえる。

このまま風に任せたら、
古い地図は
どこまで行くだろう?
地図を描いた
学者や職人が
知らなかった世界を
横切りながら、
風に舞うのだろう……

手に余る大きな地図は、
たたんで箱にしまい、
消しゴムを探す。

届かなかった伝言を
受け取るために、
季節に合わせた服を
引っ張り出して
時計を眺め、
出かける支度を整える。

ふいに訪れた秋に
驚きながら、
夏の流れ星の行方を思う。




 

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TITLE: Wings

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 11/14/2012 09:31:36



月の海に沈む
 化石の羽根は
もう瞳が永遠に
 映すことない
青い夜明けの
 モニュメント

暗い外海からの
 旅人だけが
  知るだろう
黎明を
 待ち焦がれた
  天使の
凍てた
 石の瞳に宿る
  その柔らかな
   夢を…… 

 

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TITLE: 女神の足音

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 04/14/2012 00:00:00



幸運の女神は
前髪しかない、
ってホント?

泉に住む
3人の女神に
問うてみたいけれど、
運命の乙女たちの
勇ましさや
厳しさや
残酷さに
ひるんでしまって
もうずっと
立ち止まった
ままだった……

飛び去る白鳥
水面に消える魚影
天翔ける流れ星

幸運の女神は
前髪しかない、
ってホント?

竜や天馬の背に
よじのぼらなければ
女神に会うことも叶わぬと
もうずっと
白いままの地図を、
広げもせず
ほころびたポケットに
押し込んだ
ままだった……

ある日、思ったんだ
僕には僕の
女神様が
いてくれるかも?

天馬が暴走し
竜が毒を吐き散らした日
思ったんだよ
大急ぎで捕まえなければ
お話できない女神様じゃ、
僕のお願いは聞いて頂けない!

ゆっくり訪れる
小さな足音
ゆっくり耳をすます
大きな笑顔……

ある日、思ったんだ
僕には僕の
女神様が
いてくれるかも、って?

 

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TITLE: 春の星

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 04/11/2012 11:08:29



夕暮れ 西の空
新月に近い
 三日月の船
上に輝く 金星
下に輝く 木星

まるで春の
 旅立ちを祝う
幸運の女神が
 乗る船

とおい伝説
運命の女神は
白鳥だったり
魚だったり
星だったり……

神秘の竜や蛇もよいけれど
もしカタツムリだったら
どうかな?

幸運は 金の船
ゆっくり星の波を進む
銀のツノで
道しるべを探しながら……

 

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TITLE: カタツムリ

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 04/10/2012 13:44:17



カタツムリ
 みつけた
ぐるぐる迷い道
 夜の森で

いっぴきめは
 泉のほとり
銀のツノ
 三日月の舟

にひきめは
 カラばかり
墓地の地層には
 よせてきた波のあと

さんびきめは
 もう化石
ほらあなの奥
 ひつぎがねむる

ひつぎの中に 竪琴がひとつ
鳴らない弦には
風と光が しまわれている

金の琴に 銀のツノ
はられた糸は みな化石

ぐるぐる 迷い道
忘れ川の 舟旅
夜の森の さいはて

鳴らない弦をかなでる者
日と月を浮かべて

闇を照らすのは
だあれ?

 

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TITLE: さかのぼる船

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 03/11/2012 11:53:11



さかのぼる船
荒れ地をさかのぼる

嘆きを食べる風
船腹を空にさらし
低く地に横たわる

帰らなければよかった
帰ればよかった
土砂を飲まされた学び舎
海に呑まれた家また家
あの子はどこに、どこに帰る

影たちはさまよう
わたしはまよう
どこまで続く静寂
どこまでいけばよいの?

さかのぼる船
荒れ地をさかのぼる
空に押し出され、地を走る海

見たこともない景色を見ている
いつか来る
いつか来た
その道の途中
深海と空がつながる道で……

 

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TITLE: 子守唄

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 09/03/2011 22:54:26





にぶくかがやく
時の石

あわくきらめく
夢の星

石をみがいて
星にしよ

涙のかけらも
友にして

闇のしずくを
癒すまで


 ( ―子守唄― 2010.8.7 ジオログより再掲載)

 

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TITLE: メルヘン(前)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 09/03/2011 22:48:14

 仲間とはぐれた上、こんな大穴に落ちるなんて!
 もう森には帰れないのか。
 私の羽根はあちこち破れ、飛べそうにない。

 暗闇に明かりが見えた。
 見知らぬ若者が、大きな岩に腰かけ、本を読んでいた。
 岩には、深いくぼみがあり、数えきれぬ本が並んでいた。

 「これは、空の飛び方・・・という本だ。
  そして、ぼくは、ツバサ族の生き残り」

 若者は、二つのビンを取り出した。
 赤いビンを傾けると、光る野イチゴの酒が、盃にこぼれた。
 若者は、白いビンから木の実のパンを出し、半分に分けた。
 焚き火を燃やし、手をかざし、私たちは陽気に歌った。

 心から微笑むと、破れた羽根が、背中から落ちた。
 私の両肩には、金の新芽のような羽根が・・・

 「もう君は、自由に飛んでいける」

 私は、首飾りから、大切な種を取り出した。
 妖精族は、ひとり一粒の種を持って、この世に生まれ、
 芽吹くのにぴったりの場所をさがす。

 「残念だよ。ここは暗くて日が射さぬ、大穴の底だ。
  きれいな水も、流れてはいない」

 ふたりで穴の底から飛び立ちたい、と願ったが、
 若者は、首をふった。

 「ツバサ族のつばさとは、本の岩そのもの。
  ぼくは、ツバサ族の知識を受けつぐ者」

 大きなマントの下、彼の背にある、一対の翼。
 翼の付け根にからみつくのは、銀色のくさり。
 くさりは長く伸び、彼が腰かけた大岩に巻きつき、
 地に埋もれていた。

 「白いつばさの両肩に、銀の戒めが・・・
  くさりの先は、どうなっているのかしら」

 野イチゴの甘いお酒に酔って、空飛ぶ夢や、
 本に埋もれている時間は、おしまいになった。



 

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TITLE: メルヘン(後)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 09/03/2011 22:34:23

 銀のくさりの埋もれた土を掘ると、
 「本の岩」に刻まれた、小さな文字が見つかった。

 『源へたどりつけ』

 掘り進むにつれ、「本の岩」に刻まれた絵や文字が、
 地層の中に、浮き上がる。

「ツバサ族の先祖が、残したメッセージだ。
 この岩は、大昔、今ほど厚く埋もれておらず、
 この辺りを、広い河が流れていたのか」

 彼の頬には、泥まじりの汗。
 「本の岩」は、あらかた掘り出され、
 岩肌いちめん刻まれているのは、大きな船で海をわたる人々、
 夜の航海で目印にした星座、船の作り方の説明図。

 めぐる月日、掘り続けた二人の両手は、汚れに汚れ、
 ついに銀のくさりの先が、くずれた大地から現れた。
 掌のくさりの端でゆれる、小さなカギには、
 文字が刻まれていた。

 『自由に旅立て』

 彼は、笑いだした。

「長い間、ぼくを縛っていたのは、こんな言葉か!」

 掘り出された「本の岩」の根元に、
 くさりのもう片端をつないだ、銀の台。
 カギ穴がひとつ、そこにも刻まれた、小さな文字。

 『流れのままに行け』

 さびついた、力強い線。
 古代の知恵を問う瞳に、風をはらんだ真っ白な帆、
 新天地を目指して舵をとる人々の姿が、浮かぶ。
 幻の船は、水晶ガラスの海原を、鳥のようにすべる。

 彼が口を結び、古いカギ穴に、カギを差した。
 「本の岩」が大きく揺らぎ、
 岩の下から、幾百の鈴を響かせ、水があふれた。

 あふれた水は、矢のように一すじの川となり、
 解き放たれた地下水の渦は、
 おぼれた二羽の鳥のような私たちを、水晶の腕で運んだ。

 流れる水のほとり、見知らぬ野原で目覚めたとき、
 彼は、ゆったりと翼を広げた。

 「『ここは二人の新天地』・・・最初の言葉、
  はじめの一歩を、そう岩に刻もうか?」

 「本の岩」は遠く、彼の翼に銀のくさりは、もう無い。
 私は、一粒の種を、掌にのせた。 
 ・・・水晶の小川が歌う沃野で、この一粒の種は、芽吹き、
 どんな花を咲かせるだろうか。
 

( メルヘン ―前・後―
   2010.8.6 ジオログより再掲載)



 

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TITLE: 無限ループ

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 07/22/2011 16:06:08

1.これは、雲。
2.これは、雲から降った雨。
3.これは、雲から降った雨にぬれた草。
4.これは、雲から降った雨にぬれた草を、食べた牛。
5.これは、雲から降った雨にぬれた草を食べた牛の、
ミルクをしぼっているお百姓さん。
6.これは、雲から降った雨にぬれた草を食べた牛の、
ミルクをしぼっているお百姓さんのために
料理をつくる、おかみさん。
7.これは、雲から降った雨にぬれた草を食べた牛の、
ミルクをしぼっているお百姓さんのために
料理をつくるおかみさんの、一人息子。
8.これは、雲から降った雨にぬれた草を食べた牛の、
ミルクをしぼっているお百姓さんのために
料理をつくるおかみさんの、
一人息子がつとめている、原子力発電所。
9.これは、雲から降った雨にぬれた草を食べた牛の、
ミルクをしぼっているお百姓さんのために
料理をつくるおかみさんの、
一人息子がつとめている原子力発電所から
立ちのぼる雲。
(もくもくと立ちのぼる、大きな雲…)
10.これは、雲…→1.へ戻る&繰り返し

……読み聞かせではお馴染みの、
「だんだん長くなったり、無限ループする小話」です。
セシウム牛のニュースから、連想したので
書き留めてみました。( ..)φ
この手の小話を、子ども達に語る場合には、
紙一枚で折り畳み出来る、ミニミニ絵本を工作したり、
ぺープサートを準備しておくと、
楽しく聞いてもらえたっけ…

複雑な出来事をシンプルに語り、
想像力を働かせ、全体を捉える…
フォークロアの力・昔話や民話が伝える知恵の
奥深さを、いま改めて感じています。
幼い人達を喜ばせる、愉快な語り、
としか捉えることが出来なかった、
私自身が幼かったのだな~と、つくづく。

マザーグースから着想して、公害問題を描いた絵本
『これは、ジャックのたてた家』
を、ふと再読してみたくなりました。
これも、たしか同タイプの小話ですが、
そうか、あの静かな静かな絵本に
込められていたのは、こういう想いだったのか、
という共感が今頃になって、ひしひしと…

『花はどこへ行った』という、
アメリカのフォークソング…あれもまた、無限ループする、
出征兵士の悲しみが漂う、静かな静かな歌でした…




 

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TITLE: ネプチューン

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 06/06/2011 12:37:41



鍵盤を失った指で
何を奏でるのか。

遠い庭、
濡れた夏草のはざまに
見知らぬ危険な小鬼らが
飛び回る…雨音のリズムで
嵐を予告しながら。

新しい星の暦が
海への道を示す。

行き先を告げぬ出航の合図、
人々は子らを連れ、急ぎ
霧深い波間に漕ぎ出す。
揺れ動く陸地を逃れて…

いまネプチューンは
本来の座に。

魅惑、混沌、漂泊、犠牲
そして救い…
嵐の神に脅かされたとき
女神は、愛児と自らを
リボンで結び、波間に逃れた。
2尾の魚に身を変じて…

苦楽の生の盃を味わえば
無限の音階が、波間を駆ける。

嵐の陸を去り、
生命以外を脱ぎ捨てた
無法者らの歌が、大洋を渡る。
深い霧の中で…

新しい泳ぎ方を学ぶのは、今
このときだ…


(2011.5より、海王星が本来の宮・魚座に入座)


 

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TITLE: 銀の魚

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 05/21/2011 09:05:46

波間を照らす三つ星に、祈りを。

過去からの伝言に
見知らぬ未来が兆(きざ)し、
それを読み解くのは、
現在(いま)この一瞬。

三女神の名は、
過去・現在・未来…
では、質問。
神に奉げる一番大きな
魚は、どれ?

最古の謎かけ。
出土していない、
母なる女神の知恵は
どんな森の奥、
泉のささやきが
秘めているの?

幻の黄金の都…
病熱の岩屋で、謎を解き
戦いよりも和平を選んだ
ルガルバンダ王子の
英知を刻んだ粘土板は、
厚い砂の底で眠っている。

全智の神の目には、
未来すら完了している。
大きな網の中の
小さな私が奉げられるのは、
現在(いま)という名の祈りだけ…
どこへ泳ぎ着くのかも知らない
銀の魚…

波間に揺れる、銀の三つ星に、祈りを。




 

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TITLE: 雨の少年神

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 05/21/2011 06:54:43

終末に訪れる天使。
海と空の化身。

神(デーヴァ)は、
悪魔(デヴィル)へと
いつしか易々と入れ替わる。
それゆえ名は重要ではない、
ゆるぎないものは
彼の呼ぶ嵐。

彼は嵐の精…
電光の矢を放つ破壊者。
純白の古代の衣装は、
すでにウランやプルトニウムで
汚染されている。

雨の少年神は、
時の門番となった。
うれいに満ちて、
原子雲の炎を宿した街を
忘れ川の水底に
封印しようとするけれど、
少年の服はいつまでも
黒く汚れたままだ…
乱れた髪から
潮のしずくをポトポト落とし
記憶の土砂降りに
打たれ、たたずむ。

喪服に身を包んだ彼が、
黄泉の水門で
番人となって久しい。

天を裂くモンスーン、
波立ち渦巻く少年の髪、
修羅の記憶の中で
炎上した街は
変容する、
ひとりの少女の面影
ひとひら舞う雪花片へと…

あめゆき
とってきてください…


(2010.11.23 ブログより再掲載)


 

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TITLE: アクエリアス(2010.8バージョン)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 02/19/2011 17:35:25





光と闇との
黙示録の行間
天の河が氾濫した

銀翼が塔を砕き
十字路に
行き場のない
風が荒ぶ
広場は鉄条網で
閉ざされ

星雲の衝突 太陽の消滅
旅人は闇の水底に ゆっくりと
身を横たえて 星々の淵を仰ぎ見る

泥につながれた 翼を持たぬ魚
土の塔で なおも物語を紡ぎ続ける
星座を観測した者達の末裔

よみがえれ 水瓶を捧げる大地の女神
肥沃な恵みの洪水を
とぎれめなく空と大地にめぐる雨を

病み疲れた白い都の 頭上いっぱい
押し寄せる銀河
降りしきる流星雨のように
その腕に抱く水瓶から 無限に注げ

   (2010.8.16 ジオログから再掲載)
    エジプトの広場に集ったデモの人々のニュースに触れ・・・




 

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TITLE: アクエリアス

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 02/15/2011 12:20:00



年経た暦や
古びた戸籍には
いまだ記されぬ声が
広場に満ちた

約束の星が
どの嬰児の
額に輝くのか
生まれ来る光の芽を
つみとるために
身構えていた
冥府の番犬たちすら
追いつけぬ素早さで
星は 四方八方に輝いた

嬰児を奪われまいと
地を這って守る
男女らの 日焼けした額で
隷属の道を敷かれていた
年若き子らの 暗い胸で
星は いちどきに輝いた

約束の星は ただひとつではなかった
沈黙の星々は 光を失っていたのではなく
輝くそのときを ひたすら待っていたのだ

よみがえれ 水瓶を捧げる大地の女神
肥沃な恵みの洪水を
とぎれめなく空と大地にめぐる雨を

病み乾いた王の都 その頭上いっぱい
押し寄せる銀河
降りしきる流星雨のように
ゆたかな腕に抱く水瓶から 無限に注げ



 

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TITLE: 調べについて(L.v.Beethoven)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 01/16/2011 00:28:28

鍵盤が♪(私)を呼び出して
最初の風がささやいた
流れゆけ 流れゆけ
どこまでも とぎれることなく

鍵盤を奏でた男は 恋を失い
静寂と貧しさに弔われ
過ぎ去る幾世紀
英雄たちは
ぶ厚い書物の中
すっかり黄ばんでいきました

そして♪(私)は
野をかけて 最初の風と同じ声
何ひとつまとわぬ私のままで

・・・届かぬ想いをうたった男
 剣も冠も 持たなかったあの男
 けれど時を越え 
 人々が 水輪を描いてともに
 流れ続けていくことを
 ゆうゆうと海をわたる風の行方をも
 どうやら 彼は知っていたのです・・・



 

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TITLE: 水晶のハート

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 01/12/2011 12:31:27





青い月明かり、
雪の原。
小人が金槌で、
ツララや
雪の花の細工物。
トンカチ、トンカチ・・・

おや、
なんでしょう、
聞きなれない調べが、
リンクル・コロン。
だれでしょう、
女の子が泣いています。

雪の上に落ちている、
フタの開いた木の小箱。
「君はだれ?」
小人が、たずねます。
「私は、バレリーナ。でも、もう踊れない」
女の子が、怪我した足を指さして、いいました。
「たいへんだ、転んだのかい?」
「いいえ、空から落ちてきたの」
雪に埋もれた木箱から、悲しい音が、リンクル・コロン。

「私、あの台座で踊る、バレリーナだったの」
木箱の中で、空っぽの台座が、リンクル・コロン。
小人は、じっと考えていましたが、やがて
調べに合わせて、トンカチ、トンカチ・・・

「なにを作っているの?」
と、ふしぎそうなバレリーナ。
「とっておきの水晶で、とってもいいもの、さ!」
小人が、ニコッ。
リンクル・コロン・・・トンカチ、トンカチ。
金槌の音が、休まず気持ちよくひびくので、
いつしかバレリーナも、つられてニコッ。

青い月明かり、雪の原。
長い夜は過ぎ去って、朝日がのぼると、
どこからか、鈴の音がシャンシャン・・・
眠そうな目をした白ひげのおじいさんが、
トナカイのソリで、通りかかりました。

「おや、こんなところに・・・配り忘れてしまった落とし物」
おじいさんは、トナカイのソリを停め、
雪の上から白い木箱をひろいました。
「はて・・・わしが作ったのは、こんなオルゴールじゃったかな?」
おじいさんは、赤い帽子をゆらして、
首をかしげました。
すると木箱が、リンクル・コロン。
おじいさんは、にっこり。
「これは、よい音色だ。我が家の子ども達への、おみやげにしよう」
トナカイのソリは、空へと舞いあがりました。

深い森の、一軒家。
窓辺にかざられた、オルゴールがひとつ。
白いドレスの女の子と、
金槌かついだ元気な男の子とが、
仲良くうなずきあっています。
二人の間の台座の上で、リンクル・コロン。
水晶のハートが、くるくると、
調べに合わせて、めぐっています。

小人は、生まれて初めてハートの形を作ったので、
その水晶、ちょっとゴツゴツしていますけれど、ね・・・





 

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TITLE: 光のしずく(その2)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 12/07/2010 11:13:10




雪の白さ、
夕焼けの炎、
星空の冷気、
天空のさざめき、
夢のまどい・・・
行き交う人はみな
ちいさな光を抱いて
世界の中で
一点(ピリオド)を
打つ。

風はどこから?
亡き人の記憶のとどまる
時の彼方から・・・

風はどこへ?
黄金の雲の峰湧く
地平線の果てるところ・・・

ちいさな光のしずく、
流れあう線が、いつしか
届くこともあると聞く。
銀河の果てへの
はるかな便り、
重力の風をこえて・・・



 

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TITLE: 光のしずく(その1)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 12/07/2010 10:49:09

その人は黙々と、大きな大きな暗幕を
針で突いて、小さな小さな穴を
幾つも幾つも
静かに連ねていきました。
髪は真っ白、指はゴツゴツ曲がって
いつからそうして針を握っていたのか
その人以外、誰も知りません。

その人は立ち上がり、
暗幕のマントを自分の体に
すっぽりかぶせました。
初めはただ黒いひだが、煙のように
山のように重なっているだけでした。
やがて・・・小さな小さな
無数の光のしずくが
黒いひだの向こうから静かにかがやき始め、
ふしぎな形が浮かび上がりました。

光のしずくが描く、その形を
翼を広げて飛ぶ大鳥だという人もあれば、
ゆったりうねって流れる河に似ていると
いう人もいました。
手をつなぎ踊る人々
銀のしぶきをあげる波頭のようだとも・・・

色々な人が、光のしずくを指さして
それぞれまるきり違う物語を語りました。
それぞれまるきり違う物語を語る人たちに
ただ一つ、とてもよく似ていることがありました。
光を指さし、光について語りたくて
たまらなくなるということです。

物語を語る人たちは、たとえ世を去っても
また新しく現れて、次から次へと
とだえることがありません。
暗幕をすっぽりかぶって姿をかくした
白髪の静かな人は
再び暗幕のなかから出てくることはなく、
ただ漏れてくる光から、その人がいて
明かりのように輝いていることが
知らされるばかり・・・

その人が本当は誰で、
何を語りたかったのか
暗幕の向こうにかくれた世界を知ることは
その人の他、誰にも出来ないのですから・・・

ただ夢見ることによって
伝わる何かがあるばかり。



 

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TITLE: 荒れ野の童話

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 11/26/2010 12:30:23

ひとりの旅人が、荒れ野の一軒宿に、たどり着きました。

旅人が戸をたたくと、満面の笑みを浮かべた男が
「ようこそ」と、迎え入れてくれました。
「私は、この宿の主人です。
 ここを見つけたということは、あなたも・・・」
主人は、謎めいた目で、旅人を見ました。
「この宿は、すこし変わっていますよ。それでよければ
 さあ、どうぞ」

宿の主人は、言いました。
「ここにいる間、宿賃は要りません。
 食事も、お風呂も、寝台つきのお部屋もあります。
 ただし、約束してください。
 毎日、決まった場所で働くこと。
 仕事場へは、専用の馬車で、
 この宿の者が、朝夕に送り迎えいたします。それから・・・

 あなたは、自分がこの宿の客であることを、
 人々に話してはいけません」

荒れ野の一軒宿は、つみびと専用の宿でした。

旅人は、これまで来た道を忘れ、生き直したいと願っていました。
案内された仕事場で、旅人は、毎日働きました。
けれども、仕事仲間に
「あの馬車は、どこからやって来るのか」
と尋ねられるたび、それが「つみびと専用の馬車」であるとは
答えられず、いつしか心は重くなるばかり。

罪を忘れて生き直すことは出来ない。ただ
罪を背負って生き続けることが、出来るだけなのだ・・・

旅人は、宿屋に別れを告げて
荒れ野に旅立ちました。
来た道をふり返ると、いちめんの枯れ草を風がゆらすばかり。
少し先には、ぼんやりと霧がかかって、
あの宿がどこにあったのか、影すらも見えなくなっていました。
旅人は、また、歩き出しました。
とぼとぼと・・・足元の影法師を、道連れに。

やがて、霧の中に旅人の影が消えました。
(・・・風が伝えてくれた、荒れ野の一軒宿の、消息です)



 

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TITLE: 雨の少年神

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 11/23/2010 01:22:10

終末に訪れる天使。
海と空との化身。

神(デーヴァ)は、悪魔(デヴィル)へと
いつしか易々と入れ替わる。
それゆえ名は重要ではない、ゆるぎないものは
彼の呼ぶ嵐。

彼は嵐の精・・・
電光の矢を放つ破壊者。
純白の古代の衣装は、
すでにウランやプルトニウムで
汚染されている。

雨の少年神は、時の門番となった。
うれいに満ちて、
原子雲の炎を宿した街を
忘れ川の水底に
封印しようとするけれど、
少年の服はいつまでも黒く汚れたままだ・・・
みだれた髪から潮の雫をぽとぽと落とし
記憶の土砂降りに打たれ、たたずむ。

喪服に身を包んだ彼が、
黄泉の水門で番人となって久しい。

天を裂くモンスーン、
波立ち渦巻く少年の髪、
修羅の記憶の中で
炎上した街は変容する。
変容する、ひとりの少女の面影
ひとひら舞う雪花片へと。

あめゆきとってきてください・・・



 

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TITLE: こっそり教えて 黒板が闇に呑まれる前に

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 11/23/2010 00:30:31

こっそり教えて
黒板が闇に呑まれる前に
ナイショ話をしようよ

君たち ね
なぜ となりの席の子と
プロフィール帳や
授業中のカードを
交換しあうの

あんなにおしゃべりなのに
かんじんな言葉は
ひとつも言えないで
水色や桃色のメモ用紙に
悪口やら「なかよくしてね」の挨拶やら

ページのすきまに ラブレター挟んだまま
ブックオフに売られた ゆかいな読み物
教室で 四六時中いっしょにいるけど
空回りしたり こんがらがったり

いつから君たち
そんなにヤヤコシク なったのかな
このあいだまで ミミズを突っついたり
タンポポをインコのお墓にそなえたり してたのに

今日は雨
カン蹴りのカンのかわりに
アニメのキャラクターけとばしながら
鬼ごっこの鬼 どこに見失ったのかな
かくれんぼの迷子
もう出てこられないのかな

窓を伝わるしずく模様の迷路
指でたどりながら 探してる
おーい・・・


(群馬で亡くなった12才の少女の報道に接し、ふと・・・)



 

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TITLE: ロンリーウルフ

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/21/2010 01:31:12

きみが 悲しいのは
帰る群れを 喪ったから
でも いま
きみが 寂しいのは
自分が狼だって 気づかずにいるから

忘れてしまったの?
飼いならされても 
犬にはなれない きみは
野生の狼なのに

きみが 速いのは
追いつかれたくない
思い出が つらすぎるから
でも いま
きみが 強いのは
きみ自身の ほんとの強さなんだ

忘れないでいて
みんなが求めるのは
みんなが知っているのは
悲しみを知る きみの
その優しさ だっていうこと

いちばん前を 駆ける
灰色のたてがみに
エールをおくるよ
ロンリーウルフに 乾杯!



 

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TITLE: 二重星

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/17/2010 08:53:16

君の瞳の優しさは
微笑みゆえに
ではなくて
誰かの不在ゆえ

と 気づいたのに
きっぱり拒まれるより
いっそう重い 君の引力

どこにも行けない
足もとにもつれた影を
ひとつ またひとつ
受け止め 蹴り飛ばし 解き放つ以外
どんな未来も見つけられず

影法師ひとつ
重力以上に踏みしめている
アンバランスな
臆病さ加減にあきれはてる

気が遠くなる無限のピース
雪原のジグソー・パズル
白い闇に 目印のない星座を
書き込むのは誰?

さあ、地図だ
純白のフィールドだ
影法師から 両足を持ち上げて
見知らぬ方角へ
君は 歩き始める

足元にボールがひとつ
そのゴールは無限にひろがる



 

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TITLE: 真珠色の光源

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/17/2010 08:36:36

いくたび手さぐりしても
届かぬ答えが 

かいま見える あの
真珠色の光源から
砕け散ってくる 
届かぬ問いかけ そのままに
結晶が落ちる

思考のカーテンに隠された
風の 白い溜め息
少年の影はいつも ここに
地上に落ちる

あわく
結晶の影が 重なり落ちる




 

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TITLE: 雪の日に

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/17/2010 08:25:02

新しい街への旅立ちも
ただひとりの相棒の死も
そういえば 雪の降る日に訪れた。

くらい淵から くるくるまわる
あかるくかるく 光るかけら

ちいさな手いっぱいすくった
つめたくいたい 雪だるまの頬のまるみ
マフラーまいて駆けていったグラウンド
おもいでは空のかけら
山の道にひとひら ふたひら

少年は白い斜面を きゅっきゅと踏んで
凍てついた球を 蹴る。そうして
北風と一緒にすべりおりて
見知らぬ谷間に いざなわれる。




 

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TITLE: マルス

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/09/2010 11:29:43

はるか深海より輝きのぼる
オリハルコンの呼び声。
あかがねの剣先が示すのは
ここにある平安よりも
なお胸焦がす新世界への道。

禁断の実はあまく赤い
地上にしたたる紅玉を集めて
錆びついた鎧を飾れ。
沈まぬ黄金郷をさがし出して
愚か者らの王国の名を
聖なる古文書に
新たな筆跡で強引に書き記せ。

黒きイブのエデンより旅立ち幾万年。
冒険者の都アトランティスは
黄昏の水底ふかく
遠い動乱の夢を紡いで眠る。

いま未知なる灯火をかかげ
愚か者らの名を刻んだ箱船が
荒涼と凍てた
朱の惑星の原野めざし
旅立ちのときを迎えている。

深淵より昇る炎の竜
その悪名たかき伝説の御叫びを
いささか調子外れに
誇らかに繰り返し
星の船が出航する。




 

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TITLE: ロキ

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/08/2010 13:22:52

目的には手段を選ばず・・・
おしまいには神々全てを敵にまわして
死者の爪で作った船の舵をとり
バルハラ宮殿へ攻め込んだってかまわない。
大蛇に狼、魔女に亡者
天変地異を待ち望む連中が
こぞって後についてくる。

何もかも、黄昏までのたわむれだ。
真剣な眼差しは
瞳が映す終末を、ひととき忘れる方便に過ぎない。

神々は、母なる一族を踏みつけて巨人と呼び
王を継ぐはずだった私を、邪神とあざける。

同胞は、黄泉の地図を手渡され、この地を去った。
生き延びて未来がつかめるならば
神々を自称する、あの侵略者どもとダンスして
嘘もつく、とびきりの笑顔だって売るさ。

黄金の枝を折りとり、未来の王を討ったならば
今は邪神と呼ばれる私こそ、大地の王だ。

虚しい玉座は、神々の滅びを望んでいる。
失われたものに焦がれ
取り残された者たちの涙に身を焼かれ、もがく。
荒れ果てよ、揺れ動け、血に濡れた大地。

私を縛る、不当な戒めの縄を解く者はいないか。
終末に駆けだす狼の、鎖を解くものはいないか。





 

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CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/08/2010 00:37:35

うろこを破って喰い込む氷の牙は
惑わしの毒を 血管に流し込む
彼はあてどなく 回転する
自らの尾をくわえたまま

遠い昔 彼は太陽の使いだった
今 闇の生き物に堕ちている

荒れ地で 深い眠りにつく以前
彼は唄った ガラガラ声で
尾を振り立てて
でたらめな弾き語り
通り過ぎる街角で
さびた弔いの鐘を鳴らした

彼はもう長いこと 目を閉じて
母なる言葉の意味を見失い
故郷の泉 黄金の実のなる樹を
慕っている

彼の名は 楽園を追われた精霊
翼の消え失せた 竜




 

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TITLE: 小鳥

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 10/04/2010 15:01:11

水色の尾羽根は 土の中
楽しげな歌声も 土の中
一度も飛び立てなかった  窓の外

その身は
草の根のベッドに 抱かれ
その魂は
風に乗って舞う日を 夢見る

ある日 大地の殻をやぶり
見えないもう一羽の 水色の鳥と
鳴きかわしながら 旅立っていった

風の中の小鳥
その翼は 空になる




 

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TITLE:

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 09/17/2010 17:53:25



やわらかな羽音
舞い降りる うるおい
身の丈に合った
思索の糸
古巣にささやきかける雨

ここで この場所で
時と大地とに
深く根を張り

雨粒とともに揺れる クモの巣
雨音を受信する ふるえる草の葉
いそぎ巣に帰る 灰色の翼



 

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TITLE: 一粒の雨だれが

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 09/15/2010 11:28:04

一粒の重み
まるい波紋
思いきりの良いリズム

どんなに宙ぶらりんで
先細りの道からでも
きっと地上にたどり着く

空の記憶を宿している
帰る場所を知っているから
落ちながら かすかに光る

 

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TITLE: 天気輪の柱

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 09/13/2010 11:30:43




・・宮澤賢治
『銀河鉄道の夜』
のイメージより・・



星祭りの夜のこと。
ひとりの旅人が
黒い画用紙に
銀のペンで
天宮図を描きました。
透明なダイアルを
始まりに戻し
流れた星の跡を
透かし出そうとして。

星の暦のダイアルは
あまりにも軽やかに回転し
旅人は小さな指標ひとつすら
重い夜の色の盤面に
書き込むことが出来ませんでした。

旅人は銀のペンを投げました。
夢のダイアルより先に
果たすべき仕事や約束があったのです。

ジョバンニにはお姉さんがいて
トマトのお料理を作ってくれました。
これからジョバンニは
病気のお母さんのため、ミルクを受け取りに
牧場へ出かけます。

霧深い丘の上には
天気輪の柱が一本、くっきりと立ち
南十字星行きの列車が停まっています。
星に呼ばれた少年達は、瞳を閉じ
銀河の軽便鉄道に乗って旅立ちました。

風さわぐ丘に、夜汽車の汽笛が響きます。

旅人は立ち尽くし
酔えない酔っぱらいのように立ち尽くし
やがて
銀のペンを草むらから拾い上げると
手書きの天宮図のかたわらに
これまで出会った人々の名前を
無数の星の名を記すように
散りばめることにしたのでした。



 

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TITLE:

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/30/2010 15:24:27

最初の水紋が
銀河を波立たせ 広がる

はじまりの言葉を沈め
七色の丸窓から シグナルを明滅させて
くもりなくきらめく 多面体
その内部に波立つ 黒水晶の海

夜のなぎさを 裸足で踏んで
水晶海の謎解きへと
泳ぎだして戻らぬ人々

銀の砂浜で拾った巻き貝
つめたい潮騒に 耳を押しつけ
はじまりの声の残響を さがす巡礼

遠くまで反響する 優しい呼び声
近くにいる人には 届きにくいつぶやき
幾百億の言葉の波間を ゆりかごにして

迷い人がどれほど出現したのか 
なぜ わたくし達はこんなにも
不器用な生き物に生まれてきたのだろう




 

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TITLE: アクエリアス

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/16/2010 09:51:07



光と闇との
黙示録の行間
天の河が氾濫した

銀翼が塔を砕き
十字路に
行き場のない
風が荒ぶ
広場は鉄条網で
閉ざされ

星雲の衝突 太陽の消滅
旅人は闇の水底に ゆっくりと
身を横たえて 星々の淵を仰ぎ見る

泥につながれた 翼を持たぬ魚
土の塔で なおも物語を紡ぎ続ける
星座を観測した者達の末裔

よみがえれ 水瓶を捧げる大地の女神
肥沃な恵みの洪水を
とぎれめなく空と大地にめぐる雨を

病み疲れた白い都の 頭上いっぱい
押し寄せる銀河
降りしきる流星雨のように
その腕に抱く水瓶から 無限に注げ




 

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TITLE: 子守唄3

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/07/2010 08:30:00




にぶくかがやく
時の石

あわくきらめく
夢の星

石をみがいて
星にしよ

涙のかけらも
友にして

闇のしずくを
癒すまで



 

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TITLE: メルヘン(後)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/06/2010 18:42:54

 銀のくさりの埋もれた土を掘ると、
 「本の岩」に刻まれた、小さな文字が見つかった。

 『源へたどりつけ』

 掘り進むにつれ、「本の岩」に刻まれた絵や文字が、
 地層の中に、浮き上がる。

「ツバサ族の先祖が、残したメッセージだ。
 この岩は、大昔、今ほど厚く埋もれておらず、
 この辺りを、広い河が流れていたのか」

 彼の頬には、泥まじりの汗。
 「本の岩」は、あらかた掘り出され、
 岩肌いちめん刻まれているのは、大きな船で海をわたる人々、
 夜の航海で目印にした星座、船の作り方の説明図。

 めぐる月日、掘り続けた二人の両手は、汚れに汚れ、
 ついに銀のくさりの先が、くずれた大地から現れた。
 掌のくさりの端でゆれる、小さなカギには、
 文字が刻まれていた。

 『自由に旅立て』

 彼は、笑いだした。

「長い間、ぼくを縛っていたのは、こんな言葉か!」

 掘り出された「本の岩」の根元に、
 くさりのもう片端をつないだ、銀の台。
 カギ穴がひとつ、そこにも刻まれた、小さな文字。

 『流れのままに行け』

 さびついた、力強い線。
 古代の知恵を問う瞳に、風をはらんだ真っ白な帆、
 新天地を目指して舵をとる人々の姿が、浮かぶ。
 幻の船は、水晶ガラスの海原を、鳥のようにすべる。

 彼が口を結び、古いカギ穴に、カギを差した。
 「本の岩」が大きく揺らぎ、
 岩の下から、幾百の鈴を響かせ、水があふれた。

 あふれた水は、矢のように一すじの川となり、
 解き放たれた地下水の渦は、
 おぼれた二羽の鳥のような私たちを、水晶の腕で運んだ。

 流れる水のほとり、見知らぬ野原で目覚めたとき、
 彼は、ゆったりと翼を広げた。

 「『ここは二人の新天地』・・・最初の言葉、
  はじめの一歩を、そう岩に刻もうか?」

 「本の岩」は遠く、彼の翼に銀のくさりは、もう無い。
 私は、一粒の種を、掌にのせた。 
 ・・・水晶の小川が歌う沃野で、この一粒の種は、芽吹き、
 どんな花を咲かせるだろうか。
 

 

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TITLE: メルヘン(前)

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/06/2010 18:00:22

 仲間とはぐれた上、こんな大穴に落ちるなんて!
 もう森には帰れないのか。
 私の羽根はあちこち破れ、飛べそうにない。

 暗闇に明かりが見えた。
 見知らぬ若者が、大きな岩に腰かけ、本を読んでいた。
 岩には、深いくぼみがあり、数えきれぬ本が並んでいた。

 「これは、空の飛び方・・・という本だ。
  そして、ぼくは、ツバサ族の生き残り」

 若者は、二つのビンを取り出した。
 赤いビンを傾けると、光る野イチゴの酒が、盃にこぼれた。
 若者は、白いビンから木の実のパンを出し、半分に分けた。
 焚き火を燃やし、手をかざし、私たちは陽気に歌った。

 心から微笑むと、破れた羽根が、背中から落ちた。
 私の両肩には、金の新芽のような羽根が・・・

 「もう君は、自由に飛んでいける」

 私は、首飾りから、大切な種を取り出した。
 妖精族は、ひとり一粒の種を持って、この世に生まれ、
 芽吹くのにぴったりの場所をさがす。

 「残念だよ。ここは暗くて日が射さぬ、大穴の底だ。
  きれいな水も、流れてはいない」

 ふたりで穴の底から飛び立ちたい、と願ったが、
 若者は、首をふった。

 「ツバサ族のつばさとは、本の岩そのもの。
  ぼくは、ツバサ族の知識を受けつぐ者」

 大きなマントの下、彼の背にある、一対の翼。
 翼の付け根にからみつくのは、銀色のくさり。
 くさりは長く伸び、彼が腰かけた大岩に巻きつき、
 地に埋もれていた。

 「白いつばさの両肩に、銀の戒めが・・・
  くさりの先は、どうなっているのかしら」

 野イチゴの甘いお酒に酔って、空飛ぶ夢や、
 本に埋もれている時間は、おしまいになった。





 

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TITLE: 子守唄2

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/06/2010 10:51:57




 今日の夢 
 明日の風車
 ひとすじの風が
 めぐりめぐる
 星はきのうのきのう
 ずっと前から
 丸い夜だった。
 
 唄を抱いて
 旅していた
 夕べの月よ
 忘れないでおくれ
 虹色のかすかな記憶
 星はめぐる 夢の彼方
 知っているのは
 明日が来るということだけ。



 

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TITLE: 子守唄

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/04/2010 00:00:00




かっこう むくどり 
白い鳩
つばめ こまどり 
青い鳩

いくさの世にも
国をへだてず
青く広がる 
この空の果てへ

ひとひら ふたひら 夢のかけら
飛び去ったもの達が 残していった


 拙著「黎明のほのかな翼」(発行ウェルテ)より


エンリル王国の民に古くから伝わる歌で、
「エル・シエルの子守唄」と呼ばれています・・・

子守唄は、ファンタジーにとって、「扇の要」だと思います。



 

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TITLE: 緑のお池

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/01/2010 12:16:51

   緑のお池が ありまして
   緑のお目々の男の子
   銀の髪さらさら その上に
   お皿が一枚 のってます。

   緑のお池が ありまして
   赤いおくつの女の子
   お魚のぞいた そのはずみ
   緑の水に おちました。

   緑のお目々の男の子
   すいすい泳いで 池のそこ
   おぼれた女の子を ひっぱって
   緑の草へと はこびます。

   緑のお池が ありまして
   岸辺でめざめた女の子
   銀の髪さらさら 見たような?
   赤いおくつが ありません。

   きっと おくつは池のそこ
   今ごろお魚の家の屋根
   それとも だれかの宝物・・・





 

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TITLE: 赤い鳥居

CATEGORY: ポエム&童話 DATE: 08/01/2010 11:43:51

   ひとりでくぐる
   赤い鳥居
   どこまで続く
   林の暗がり

   奥まで続く
   赤い鳥居
   お稲荷さんの
   おやしろの

   白いお顔としっぽに会いに







 

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