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ファンタジーや神話、子どもの本について等、

のんびり書き記したブログのアーカイブです。

 

月曜から日曜まで、『日常』は、太陽系の7惑星。

そのはざまに浮かぶ、『矮惑星』のような、

夢見がちな時間の記録として。

 

 

ホームページ「黎明のほのかな翼」

 

も、どうぞよろしく☆

 

 

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MONTHLY: 2015/06

 

 

TITLE: 山本屋の味噌煮込み

CATEGORY: 徒然記 DATE: 06/25/2015 06:17:12



夫と息子がナイター野球観戦に出かけたので、
「たまには外食しよう」と娘とお出かけ。

 外食嫌いな娘、どこのお店にしようかアレコレ迷い、
結局、近所の「山本屋」に。
名古屋暮らしが4年以上経ったのに、
「山本屋の味噌煮込みうどん」を知らない娘なのでした。

この蒸し暑い梅雨時に、
ぐつぐつ煮えた味噌煮込みを食べに行くお客なんて、
ウチぐらいかな・・・と思っていたら、
案外お客さんがいて、お鍋ぐつぐつ派もそこそこいて、驚きました。

その上、小学校時代からの同級生くんのご家族が、
すぐ傍のテーブルにたまたま居合わせ・・・地元っていいなぁ、ハイ。(^ ^)



 

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TITLE: 雨あがりんりん

CATEGORY: メルヘン雑記 DATE: 06/23/2015 14:01:49



「雨あがりんりん」
https://www.the-wings-at-dark-dawn.com/poem_ameagari.html

ホームページに、旧作童話をUPしました。
もし、お時間ありましたら、どうぞ御高覧くださいませ。


2003年初夏頃の作品です。息子が、幼稚園に通う年中組さんだった頃。
いま読み返すと内容のわりに漢字が多く、チグハグだなあと思います。
平仮名を多く使う表現って、難しいです。
たぶんこれが、初めて挑戦してみた「生活童話」ですが、
幼年向きの文体がつくれず、四苦八苦した記憶・・・

日常生活が舞台の、不思議なお話。
最近では、この領域を「エブリデイ・マジック」とも呼ぶようです。
幼年向きのファンタジーが描けたら素敵なのですが、
どうもこの領域に向いていない自分・・・

とはいえ、悶々と、せめてもの習作を書いていたおかげで、
福島市の山川印刷さんからの童話の依頼を受けた時も、
「なんとかなるべ?」
と、引き受けることが出来ました。
斎藤ナオさんの素晴らしいテンペラ画とコラボした
絵本「ふぅのちいさな旅」へと実ったことを思えば、
死屍累々の習作って、ホント大切なんですね・・・つくづく。
精進しないと、精進。
あぁシノブくん・・・書いてない(涙)。

 

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TITLE: レ・ミゼラブル

CATEGORY: 読書メモ DATE: 06/21/2015 23:29:24



 中日劇場で上演中のミュージカル「レ・ミゼラブル」を、夫と二人で観てきました。
 夫が原作の熱烈なファンで、私は一緒についていった程度のファンなのですが、とっても良い舞台でした。

 児童向けリライト「ああ無情」や、少女向けの「コゼット」、ジャン・ギャバン主演映画や、みなもと太郎のギャグマンガ版など、色々な作品から内容を見聞きしてきたストーリーですが、ビクトル・ユゴーの原作は未読のままです。
 夫は、原作を何度も読み返し、ミュージカルのCDも持っているという、かなりの入れ込みよう・・・私も、原作を読んでみようかな?

 今日観たミュージカルでは、ジャン・バルジャンも群像劇の人物の一人、といった印象。群像の中でも特に、貧しい少女エポニーヌの存在感が光ってました。

 予備知識なしに観劇して、あとでジャン・バルジャン役は「ヤン・ジュンモ」という韓国人の役者であると知り、驚きました。とても素敵でした。
 上品で優しいジャン・バルジャン、若い世代を守り支えようとする人類愛の持ち主、すごくピュアな温かいジャン・バルジャン像が伝わってきました。
 うん、こんな感じのジャンもありだな・・・いやもう、一度これ観ちゃったら、「ジャンはこうでなきゃ」って気がしてきました。

 外国人の役者さんが日本語で歌うことで、少し距離感のある、透明な心情が伝わるのかも……罪人であることを隠して生きるジャン・バルジャンの、少し距離を置いた深い優しさと響きあって、いい味を出しているように思いました。

 

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TITLE: 太陽のケーキ "teru-teru" テルテル

CATEGORY: 徒然記 DATE: 06/20/2015 23:15:37




名古屋市緑区のイオンモール大高店1Fのパティスリー・フカヤへ、娘と出かけました。名古屋芸術大学ビジュアルデザインコース4年生が、授業課題でデザインした
「太陽のケーキ "teru-teru" テルテル」が、ちゃんとお店に並んでいました。

 「期間限定で数に限りがある商品なので、身内で買い占めないように」
という大学からの指示もありましたが、
4個買って帰りました。ケーキは甘いなぁ~(^ ^)




 

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TITLE: 採れたて野菜

CATEGORY: 徒然記 DATE: 06/20/2015 13:08:57





実家の父が、この春先から耕作していた畑で、
キュウリとナスが とれるようになりました。

「手伝うね」といってなんの手伝いもしないうちに、
古民家の跡地が、とても立派な野菜畑に変わっていて、
驚きました。あれ?あれ?
この間見たときはチョロチョロ生えていた緑が、
こんなに大きくなったの?いつのまに……

朝から採れたてのキュウリとナスを、父が届けてくれました。
キュウリが普通の倍ほどの大きさですね……
ご馳走様です☆ありがとうございました。m(_ _)m




 

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TITLE: 雪のかけらは空の手紙

CATEGORY: メルヘン雑記 DATE: 06/17/2015 18:31:59



「雪のかけらは空の手紙」
https://www.the-wings-at-dark-dawn.com/story_yukinokakera.html

ホームページに小説をUPしました。

少女小説を志向した文体で、かなり気恥ずかしい作品です。

これを書いたのは1990年代の初めごろ、
まだライトノベルというジャンルは身近でなく、
少女小説(集英社のコバルト文庫)や少年小説、
ジュニア小説といった区分で、私も周囲の人々も考えていました。

児童文学・童話とは異質な、
「娯楽文学」「大衆文化」
「読み捨てにされるけれども多くの子ども読者に読まれる作品」
を書くように……という恩師の教えで、挑戦してみました。

コバルトノベル大賞の一次選考にだけは、なんとか引っかかったけど……
友人の評価はかなり厳しかった、そうとうに痛い作品です。

装飾的で、心情の揺れ動きを描くことに重心を置いた、
改行の多い恋愛小説……というように、当時の私は
「少女小説」を理解しておりました。

が……なんとなくこれ一作しか書けず、挫折しました。

「ロードス島戦記」のような
和製ゲームファンタジーが台頭してきた頃でもありました。
もしあの頃の自分に、
「ライトノベル」という方向性を目指して書き続ける根性と
「先見の明」があれば、立派な書き手に成長できたかもしれません。

力不足でエンターテイメントが全然書けなかったなぁ。
二上洋一先生をまたしても思い出します。
木っ端原稿ですが、タイムカプセルみたい、なつかしい……

本文は400字詰原稿用紙にして100枚前後あります。
懸賞小説の規定がそんな分量だったからです。

長文ですが、もしお時間とご関心がある場合には、御高覧くださいませ。

 

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TITLE: 「名探偵コナン」論

CATEGORY: アニメ・まんが雑記 DATE: 06/14/2015 16:41:02



「名探偵コナン」論 (1997.6)
https://www.the-wings-at-dark-dawn.com/subculzakki.manga_conan.html

ホームページに「名探偵コナン」論を、UPしました。
もしお時間と御関心がありましたら、どうぞ御高覧くださいませ。
力不足で発行することが出来なかった同人誌「結晶作用No.4」に載せるつもりだった試論です。題材はコナンなのですが、万年学生っぽく真面目に書いた・・・みたい。
字ばっかりで読みにくい・・・。

 

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TITLE: まだ大人ではない者達の祈り

CATEGORY: メルヘン雑記 DATE: 06/14/2015 11:11:33



https://www.the-wings-at-dark-dawn.com/poem.bungaku.html
「文学と教育」本誌&会報 掲載作品 (ポエム&童話)

ホームページに、インデックスをUPしました。
もしお時間ありましたら、どうぞ御高覧くださいませ。

「まだ大人ではない者達の祈り」は童話ではなく、
合唱劇っぽく詩を組み合わせた習作です。
この作品のヒナ型は、高校時代に書きました。
まさしく中二病をこじらせた高二病そのもの……痛いです。
あまりにも痛いので、原点序章的に、
あちこちで晒していた自虐パフォーマンスな作品でした……
ええ、夢見る夢子ちゃんで童話ばっかり書いてる子ですが、
たまにこんなのも書きますよ、みたいな。

痛いですね……長瀬智也の「本日、未熟者」という歌が、
いまだに大好きです、とても。

 

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TITLE: 菩提樹

CATEGORY: メルヘン雑記 DATE: 06/09/2015 14:07:39



「菩提樹」
https://www.the-wings-at-dark-dawn.com/poem_bodaijyu.html

ホームページに、旧作童話をUPしました。
もしお時間ありましたら、どうぞ御高覧くださいませ。


シューベルトの歌曲「菩提樹」から着想しました。
20年以上前の作品で、原型は大学生の頃に書いたものです。

大学卒業後も、文通によって20年以上創作を御指導頂いた、
二上洋一先生からは、

「アマチュアリズム、無国籍童話、大正童心主義的な作品。
 賢治を真似した文体。
 お金が稼げなくて、主人公はどうやって生きていくのか。
 困難なストーリーを描かなければ、子ども達には読まれない。
 創作姿勢そのものを考え直すように」
「大学で学んだことは一旦捨てて、
 子ども達に支持されている作品を読むべき。
 コバルト文庫など少女小説は、照れずに必読」

といった内容の、
全文厳しいお手紙を頂いてヘコンダ、
ある意味とても思い出深い作品です。

ちょっとした短編童話で、
そんなに厳しい御指摘を受けるとは思ってもいなかったので……
でも実は、手紙がポストに届く、その当日の明け方の夢の中でも、
二上先生に叱られてました。
ということは、無意識のうちに、
二上先生のいわんとしていることを、すでに予感していたのかもしれません……

そんな思い出も含めて、
私自身にとっては、今でもひっそりと愛着がある童話です。(^ ^)

 

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TITLE: 青い星のほとり

CATEGORY: メルヘン雑記 DATE: 06/08/2015 13:55:41



「青い星のほとり」
https://www.the-wings-at-dark-dawn.com/poem_blue.html

ホームページに、旧作童話を UPしました。
もしお時間ありましたら、どうぞ御高覧くださいませ。


1996年春、東京学芸大学の恩師・根本正義先生が編集されていた
学会誌「文学と教育」の会報に、掲載して頂いた短編童話です。

ほとんど20年前に書いた作品を、
今さらながらワープロのフロッピーから拾い、
パソコンデータに落としました。

真面目で漢字だらけの学会報に、
平仮名・カタカナばかりの童話を投稿するのは、
当時、自分ではかなり勇気をふりしぼったつもりでしたが、
温かな恩師の支えあればこそでした。有り難いことです。
「文学と教育の会」という東京の投稿先があることを励みに、
福島に暮らす間も、お話を細々と書き続けることが出来ました。

自分ひとりでは、夢を持ち続けられなかったかも……
拙くてもね……書き続けないと、ね。

 

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TITLE: ユピナとラジナと銀の星

CATEGORY: メルヘン雑記 DATE: 06/08/2015 09:08:50



「ユピナとラジナと銀の星」
https://www.the-wings-at-dark-dawn.com/poem_yupina.html

ホームページに、童話をUPしました。
2000年以前に書いた旧作童話を、ワープロのフロッピーディスクから拾ってきました。あらもう?15年も昔だわ……

もしお時間ありましたら、どうぞ御笑覧くださいませ。

あんまり恥ずかしい台詞はカットしましたが、それでも十分に恥ずかしい、メルヘン・ラブ・ストーリーです。わはは。(^ ^)

 

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TITLE: 6月のケーキ (パティスリーフカヤ・イオン大高店)

CATEGORY: 徒然記 DATE: 06/06/2015 00:19:41





名古屋芸術大学のビジュアルデザインコース4年生が、授業で取り組んだケーキのデザイン。
イオンモール大高店(名古屋市緑区)1Fパティスリー・フカヤさんでただいま販売中です!
カタツムリのケーキ、太陽のケーキの2作品が選ばれ、ほんとにお店に並ぶケーキになりました。楽しそうな授業ですね・・・

 

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TITLE: なゐの神

CATEGORY: 神話雑記 DATE: 06/03/2015 12:00:26



最近、地震のニュースが多い。大きな地震は、たしかユーラシア系の神話では、世界を支える三匹の魚のうち一番大きな魚が暴れて起きる。北欧神話では、ロキが縄で縛られ、滴る毒液の苦痛に耐えかね身をよじって起きる、など。
地震多発の日本列島では、どんな神話があるのかと検索したら、地震の起源譚は、文字によっては残されていない (古事記や日本書紀などに記されていない)。火山活動が活発で、大きな地震にたびたび見舞われてきた、この日本列島で……?

599年、推古天皇の時代、奈良地方で大きな地震があり、各地の神社で「なゐの神」を祀らせた。「なゐ」とは大地の意味あるいは転じて地震の意味。が、「なゐの神」とは、海の神・山の神などと同じで、個別の神の名ではないという。(ウィキペディア)


今に伝わる日本神話が、渡来文化の影響を受けた、比較的新しい文献であることを痛感する。地震国の神話なのに、地震の起源譚が「ない」とは!
ついでに妄想……「なゐ」なら発音は、「なうぃ」となる。南方ポリネシア系の神話で活躍する神「マウイ」あたりが語源だったら面白い。国語学者の大野晋さんによれば、日本語の基底には、南方ポリネシア系の言語・神話・文化の影響があるという。

マウイは、釣り針で海洋から島々の大地を釣り上げたという。
西洋の「漁夫王伝説」をも彷彿とさせる、雄大な神だ。
西洋の漁夫王は投網を使い、南方系神話のマウイは釣り針を用いるといった、伝承の差異も興味深い。


古典にも記されていない「なゐの神」の祀り方 (地震国での文化の築き方) を、日本列島の民は、今一度さがす必要があるのかも……なんてね。

 

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TITLE: 月あかり (2)

CATEGORY: 創作「オモカゲ山のシノブくん」 DATE: 06/02/2015 12:48:55

 

 

 ようやくゆれがおさまり、シノブくんは、かぶっていた鍋を頭からおろした。
 戸棚の位置が大きくずれて、床いちめんにこわれた食器が散らばる「くりや」から、わたし達はいそいで外へ出た。
 時々ゆらゆらと地面が波打つように動くが、オモカゲ山の深緑の木々は、いつもとかわらぬ姿でそこにあった。
「よかった……やしろも鳥居もこわれずにいてくれた」
 シノブくんがあたりを見回して、ホッとため息をもらした。
 「シノブの宮」のあけ放った引き戸の向こう、さっき板の間にかざったばかりの、陶の器がひっくり返って割れていた。水がこぼれて木の床をぬらし、ススキと青ユズの枝が無残に乱れ、たおれている。
 思わずそちらに足を向けると、シノブくんが首を横にふった。
「まだ建て物には入らないほうがいい、また大きなゆれがくるかもしれないから」
 やしろ手前のちいさな広場から、シノブくんとわたしは、ふもとのオモカゲ街が夕やみにつつまれ始めるのを、たたずんで見おろした。
「街にあかりが灯らないな」
 シノブくんが、まゆをひそめた。
「さっきの地震で、停電がおきたのかもしれない」
 いつもなら、ここオモカゲ山の西の峰にある「シノブの宮」からながめると、夕ぐれのオモカゲ街にぽつぽつと、灯が浮かびはじめる頃なのだった。やがて宵闇の底、クモの巣にやどるしずくのように、無数の金色の光がやさしい渦をえがくはずなのに……
 ひたひたと、まっくらな夕やみがせまってくる。
「オモカゲ山ばかりでなく、オモカゲ街もゆれたんだな……ひさしぶりにアイツがあばれたのだろうか」
 シノブくんが、つぶやいた。
 アイツ……
 ふと、さっき草むらに消えていった、あのちいさなムカデの、黒光りする胴体と数えきれない赤い足とを思い出した。いつか黒沼のほとりで追われた、あの大ムカデの姿がまぶたに浮かび、わたしは身をふるわせた。
 アイツ……?

 ガサリ、と足もとの草が鳴った。
「きゃっ」
 悲鳴をあげ飛びすさると、両腕でかかえられるほどの影が、すいと飛び出してきた。
「シノブさん、たすけてください」
「え?」
 わたしは身をこわばらせたまま、足もとに目をこらした。
 夕やみに、きらりとまたたく緑の瞳……
「びっくりさせてごめんなさい」
 やわらかな声色で申し訳なさそうにあやまったのは、ふわふわしたシッポのネコだった。
「なんだ、タマじゃないか」
 シノブくんが、声をかけた。
「どうしたの、そんなにあわてて」
「シノブさん。サヨさんが……ケガを」
 ネコは、金色の毛並みをふるわせ、緑の瞳をみひらいた。
「なんだって。さっきの地震で?」
「はい。タンスに足をはさまれて……動けなくて」
 ミャウ、ミャウ、ミャウ。
 うったえるようなタマの声に、シノブくんが、さっと身をひるがえした。
「わかった、すぐ行く。懐中電灯、それに薬と包帯をとってくるよ」
 やしろから戻ってきたシノブくんは、小さな包みをわたしにあずけた。
「これを持ってついて来てくれるかな、イスルギさん」
 もちろん……わたしは大きくうなずいた。

 あわい金茶の影が、案内するように先にたち、しなやかに石段をおりていく。
「はやく、はやく。シノブさん」
 シノブくんとわたしが後について、オモカゲ山の夜道をくだる。
「たしか山すその、井戸のある古い家だったかな」
 シノブくんが、首をひねる。
「そうですよ……古い井戸がありますよ」
 タマがふりかえって、こちらを見上げ、待っている。
「はやく、はやく。シノブさん」
「わかった、わかった、タマ……ほんとに今夜は暗いなあ」
 シノブくんが、オモカゲ街を見おろしてつぶやく。
「こんなに暗い。電気が止まって、街の人たちは大丈夫かな?電気だけでなく、水道も止まってないだろうか」
 シノブくんの、心配そうな横顔。
 わたしは目を移して、夜空を見上げた。
 街のあかりが消えた分、今夜の月は、とてもきれいだ。
 十五夜お月さん、まんまるの月……
 山の鳥やケモノ達は、どうしているだろう?やっぱり地震におどろき、まだおびえているのか。それとも、もう巣穴やこずえで、身を休ませているだろうか。

 

 

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TITLE: なつかしの、富士通オアシス

CATEGORY: 徒然記 DATE: 06/01/2015 13:42:28



貸倉庫から私の愛用ワープロ発掘……
行方不明だった夫の愛用ドライブも同時発見!

(^-^)
ドライブ経由で、ワープロのフロッピー文書を、
パソコン用に変換できるようになりました。

大量のフロッピー文書を保管している夫は、
作業の段取りがついて喜んでます。

私も、フロッピーに童話がいくつも入っているので、
原稿をパソコン用CDに移したり、
ホームページにUPしたりしたいな……

 スマートなパソコンに比べて、ワープロって武骨です。
でも文書作成のみが目的なら、
いっそ目に優しく気が散らない、
とても使い勝手の良い機械です。
壊れないでね……



 

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