小鳥
水色の尾羽根は 土の中
楽しげな歌声も 土の中
一度も飛び立てなかった 窓の外
その身は
草の根のベッドに 抱かれ
その魂は
風に乗って舞う日を 夢見る
ある日 大地の殻をやぶり
見えないもう一羽の 水色の鳥と
鳴きかわしながら 旅立っていった
風の中の小鳥
その翼は 空になる
(2010/10/4)
雨
やわらかな羽音
舞い降りる うるおい
身の丈に合った
思索の糸
古巣にささやきかける雨
ここで この場所で
時と大地とに
深く根を張り
雨粒とともに揺れる クモの巣
雨音を受信する ふるえる草の葉
いそぎ巣に帰る 灰色の翼
(2010/9/17)
一粒の雨だれが
一粒の重み
まるい波紋
思いきりの良いリズム
どんなに宙ぶらりんで
先細りの道からでも
きっと地上にたどり着く
空の記憶を宿している
帰る場所を知っているから
落ちながら かすかに光る
(2010/9/15)
ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より
©Tomoe Nakamura 2010
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