鍵盤が♪(私)を呼び出して
最初の風がささやいた
流れゆけ 流れゆけ
どこまでも とぎれることなく
鍵盤を奏でた男は 恋を失い
静寂と貧しさに弔われ
過ぎ去る幾世紀
英雄たちは
ぶ厚い書物の中
すっかり黄ばんでいきました
そして♪(私)は
野をかけて 最初の風と同じ声
何ひとつまとわぬ私のままで
・・・届かぬ想いをうたった男
剣も冠も 持たなかったあの男
けれど時を越え
人々が 水輪を描いてともに
流れ続けていくことを
ゆうゆうと海をわたる風の行方をも
どうやら 彼は知っていたのです・・・
(2011/1/16)
ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より
©Tomoe Nakamura 2011
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