終末に訪れる天使。
海と空との化身。
神(デーヴァ)は、悪魔(デヴィル)へと
いつしか易々と入れ替わる。
それゆえ名は重要ではない、ゆるぎないものは
彼の呼ぶ嵐。
彼は嵐の精・・・
電光の矢を放つ破壊者。
純白の古代の衣装は、
すでにウランやプルトニウムで
汚染されている。
雨の少年神は、時の門番となった。
うれいに満ちて、
原子雲の炎を宿した街を
忘れ川の水底に
封印しようとするけれど、
少年の服はいつまでも黒く汚れたままだ・・・
みだれた髪から潮の雫をぽとぽと落とし
記憶の土砂降りに打たれ、たたずむ。
喪服に身を包んだ彼が、
黄泉の水門で番人となって久しい。
天を裂くモンスーン、
波立ち渦巻く少年の髪、
修羅の記憶の中で
炎上した街は変容する。
変容する、ひとりの少女の面影
ひとひら舞う雪花片へと。
あめゆきとってきてください・・・
(2010/11/23)
ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より
©Tomoe Nakamura 2010
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