童 話 2013年 Facebook より

 
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月と星 の メルヘン

 




− ののさま どちら −

 

 

 

 

 

星が

水に飛び込んできて、

魚をつかまえろ

という。

 


あみで

魚を

つかまえたら、

バケツにいれて


 

水にうかぶ ちいさな島の

てっぺんで星がひかる大きな木の下、

ベンチにすわって待っていると、

月の汽車が、雲をひいてやってきた。

 


竜のように木をぐるぐる、

月の汽車は

ぼくをのせて、

空へ、空へ。

ひかる星、

ぼくを道案内する星、

ふたごの星。


 

空のまんなか、

星の花園、白いバラ、

白い雲のお城、

とてもきれいなお姫さま。

 


お姫さまが

バケツをうけとり、

中の水を

天の川にながした。

お姫さまのうでの中、

魚はすやすや

ねむっている。

 

ねむる魚が、すがたをかえた。


 

ふたごの星がおしえてくれた。

 

「ののさまは、空のまんなか

毎日やすまず、うたうのが仕事」

「ののさまが天の川の水音から

作ったたてごと、魚にばけて

遊びにいっちゃった」

 

ののさまがうたう。

白いうでがかなでる

たてごとの音色は、

魚のみる夢かな。

 


かえり道は、ゆっくり。

月の舟で、

天の川の流れにまかせて。


 

バケツには、

あたらしくくんだ天の川の水と

白くひかる星のバラ。

ののさまがくれた

おみやげは、もうひとつ……

 


あのうたごえ……

 

ののさま どちら

いばらのかげで

ねんねをだいて

はなつんでござれ

 

はなつんでござれ……


 

またね……

 


 

          (2013/11/18)

 

 

 

− Facebook より −

 

 

※名古屋市昭和区赤い羽根チャリティー絵画展

 近藤美和さん出品作『月と星々』に寄せて

 

 

  

©Tomoe Nakamura 2013

 

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  御高覧ありがとうございます。