月の葉を
清水にひたし
ツユしたたらせ
約束する
渇いた大地はよみがえり
埋もれた種はまた芽吹く、と
形代の枝
かがやく炎に投じ
煙たちのぼらせて
夢をみる
明星にともなわれ日がのぼるとき
灰の寝床からツバサは舞い上がる、と
幾千と幾万
暗い夜の夢をたどれば
朝がこない日はなかった
それがずっと
変わりゆく世界の魔法
変わらぬ「とき」の約束
月の葉を輪にして
月の葉を冠にして
魔法がおわらないことを願う
約束が破られないことを祈る
月の樹を柱にして
月の葉を屋根にして
星々の物語を紡ぎ
地の安らぎを織りあげる
月の実をもいで
月の葉を編んで
円い籠舟を銀河に浮かべ
こよい漕ぎ出せば
この岸からあの岸へ
終わらない旅が始まる
(2016/6/18)
ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より
©Tomoe Nakamura 2016
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