消しゴムが行方不明。
受け取りそこねた
郵便が一通。
手持ちの地図が
風にあおられる。
もはや正確な
地図かどうかも
怪しいのに、
両手で古い紙を押さえる。
このまま風に任せたら、
古い地図は
どこまで行くだろう?
地図を描いた
学者や職人が
知らなかった世界を
横切りながら、
風に舞うのだろう……
手に余る大きな地図は、
たたんで箱にしまい、
消しゴムを探す。
届かなかった伝言を
受け取るために、
季節に合わせた服を
引っ張り出して
時計を眺め、
出かける支度を整える。
ふいに訪れた秋に
驚きながら、
夏の流れ星の行方を思う。
(2013/9/27)
(2016/6/19 加筆)
ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より
©Tomoe Nakamura 2013
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