雪の日に
新しい街への旅立ちも
ただひとりの相棒の死も
そういえば 雪の降る日に訪れた。
くらい淵から くるくるまわる
あかるくかるく 光るかけら
ちいさな手いっぱいすくった
つめたくいたい 雪だるまの頬のまるみ
マフラーまいて駆けていったグラウンド
おもいでは空のかけら
山の道にひとひら ふたひら
少年は白い斜面を きゅっきゅと踏んで
凍てついた球を 蹴る。そうして
北風と一緒にすべりおりて
見知らぬ谷間に いざなわれる。
(2010/10/17)
二重星
君の瞳の優しさは
微笑みゆえに
ではなくて
誰かの不在ゆえ
と 気づいたのに
きっぱり拒まれるより
いっそう重い 君の引力
どこにも行けない
足もとにもつれた影を
ひとつ またひとつ
受け止め 蹴り飛ばし 解き放つ以外
どんな未来も見つけられず
影法師ひとつ
重力以上に踏みしめている
アンバランスな
臆病さ加減にあきれはてる
気が遠くなる無限のピース
雪原のジグソー・パズル
白い闇に 目印のない星座を
書き込むのは誰?
さあ、地図だ
純白のフィールドだ
影法師から 両足を持ち上げて
見知らぬ方角へ
君は 歩き始める
足元にボールがひとつ
そのゴールは無限にひろがる
(2010/10/17)
illust :tomo
poem:tomoe
© tomo & tomoe 2016
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